言ってもいいんですか?

四木さんの家のテーブルに置かれている小さな袋に入ったもの。ピンクのハートのタブレットの様だ。また新しい薬でも出回り始めてるのかな。私は出されたお茶を飲みながらそれを手にとる。

「四木さん。これ何の薬ですか?」
「媚薬ですよ。飲みます?」

何言ってるんだ。この人。なんだか怖くなってテーブルに袋を放る。

「飲むわけないじゃないですか! っていうか何でこんなもの持ってるんですか?」
「そういうお店で使われてる強力なものだそうだ。粟楠のシマで勝手に店出してから潰しに行った時に回収したものでね」

媚薬なんて飲んだこともないからどのくらいすごいのかなんて知らないけれど、紳士な四木さんがそれを持っていると、物凄く卑猥なものに見えてきてしょうがない。

「早く捨てたらいいじゃないですか」
「本当は見つかる前に飲み物に溶かして飲ませるつもりだったんだけどね」

冗談なのか本気なのか。どちらにしろこんな物飲まされるなんてたまったもんじゃないと私は自分の前に出されたコップを見つめる。まさかこのお茶に入ってないよね?

「まぁ、媚薬なんかなくてもういはイイ声で啼いてはくれますけどね」
「四木さんって結構変態ですよね」

何か言いました? と袋から薬を取り出そうとしている四木さんは見なかったことにして、この出されてしまった飲み物に手をつけてしまったことを今更後悔をして遅いのか。それとも入ってないのか。

「四木さん。もしかしてもうこれ入ってたりします……?」
「さぁ、効果は後から来るそうなんで、それまでのお楽しみってことで」


言ってもいいんですか?
title:テヌート







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