ひとはそれを思慕という
今日は高杉さんとデートだ。土曜の夜高杉さんとの仕事終わりに、待ち合わせ。
夜18時に、駅で。
いつもは休日に出かけていたので、初めてスーツ姿の高杉さんとご対面だ。
私服でもカッコイイけど、今回繁華街にある居酒屋さんに行くみたいで、駅に行くと可愛い、カッコイイお姉さん、お兄さんがウロウロしてる。
普段こういう所に来ない私は高杉さんを待ってるだけで、落ち着かない。
手持ち無沙汰で携帯を触りながら、辺りを見回していると、見慣れない高杉さんの姿が見えた。
私の場所がわからずキョロキョロとしているので、手を振ってみると気づいてくれてこちらに向かってきた。
「お疲れ様です」
「お疲れ。ちょっと待たせたな」
「大丈夫ですよ」
「じゃあ、行くか」
行き慣れているお店なのか、慣れた足取りでお店に向かい出した。
私は、横に並んでネオンライトが明るい街を見渡した。
「今の人かっこいい!」
「隣の子彼女かな?」
行き交う女性が高杉さんをチラ見していく人は少なくない。
カッコイイし、この街が似合うもんなぁ。
なんだが、自分が釣り合わない気がして少し高杉さんの後ろを歩く様にした。
「どうした?」
その様子にすぐに気づいた高杉さんは足を止めた。
「すまん。俺の歩くペース早かったか?」
「ああ。そうじゃないんですけど」
その時すれ違った女性達の会話が聞こえてきた。
「カッコイイー」
「彼女かな? なんかね」
少し笑い混じりのその声。
気にしたくないけど、気にしてしまう。
けど、高杉さんに気を遣わせたくなくて笑顔を作る。
「ああーえっと、やっぱそう見えちゃ……」
言い切る前に思い切り引かれた手。
繋がる手。恋人繋ぎ。
「た……高杉さん」
「俺が選んだ女なんだから気にすんな」
「……モテる男は言う事が違いますね……」
軽く小突かれたけど、それでも隣にいてもいいんだって思わせてくれた。