5.赦せないのは自分自身

特に予定もないので事務所にいたら、学校終わりのういが顔を見せた。一ヶ月と置いたが、どうやら情報屋の言っていた通り変に動かされてる様子も見られないので、そのまま専属としてここに残ったうい。さすがに俺も驚いたがヤクザ相手にここまで飄々としている女子高生ってのも困りものだ。

「四木さんコーヒー飲みます?」
「ああ」

勝手知ったる手つきでコーヒーメーカーのスイッチを入れたういはソファーに腰をかけた。

「ういは折原臨也のことをどう思ってる?」
「一応上司? ですかね?」
「付き合ってはないのか?」
「んー、アレは付き合ってるんですかね? 好きだとも言われた事はないですけど、やたら恋人紛いなことはしてますよ?」

ただ気になっていた疑問をぶつけてみると何とも曖昧な返事。それは関係があると受け取っていいのだろうか。コーヒー入りましたよと私の前にカップを置きに来たので、私の隣に座る様に指示をすると素直に座ってくれた。この子は警戒心がまるで無いのかそれとも意識的にこういう状況を作り出してしまうのか。

「今日事務所静かですね」
「もうみんな帰ってるか、他に出払ってるからな」
「大変ですね。ヤクザも」

コーヒーを一口飲んだういはソファーの上で体育座りをする。スカートが短いそこはスレスレでもう少しで見えそうだ。

「パンツ見えますよ」
「どこ見てるんですか。四木さん」
「自然と目がいってしまうものだよ。こんなことしていつしか誰かに襲われるよ」
「それは四木さんも入ってるんですか?」
「さぁ、どうでしょう」

若い子相手に本気というのもどうかと思うが、俺がういに少しも惹かれてないと言ったら嘘にはなる。歳が歳なだけに情けないとも思うが。

「四木さんが私に手を出したら犯罪ですね」
「今更そんな事気にしてもねぇ」
「じゃあ、私このまま襲われちゃうんですね」

楽しそうにケラケラと笑ううい。本当、襲われても文句は言えない。チラッと見えてしまった。白のそれ。

「うい。足戻してくれないかな」
「別に四木さんならいいですよ」

どういうつもりなのだろうか。少しからかうつもりで顎を掴んでこちらを向かせると驚いた表情をしているうい。

「え?」
「いいと言ったのはあなたでしょう」
「嘘ですよ! 嘘! ほら足下ろしましたし!」
「遅いですよ」

抵抗するういを抑えて深くキスをするとだんだん大人しくなるうい。ゆっくりと唇を離すと睨まれてしまった。

「そういうのは逆効果って言うんだよ」
「知りませんよ。そんなこと」

離れようとしたういを再度引き寄せると身を固くした。

「覚悟もないのに変に誘う真似しないことだな」

何かを言おうとしたういの唇を再度塞いで、押し倒す。四木さんも若いですねと肩を上下させるうい相手に止まるはずがなかった。

テヌート








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