2.さぁ、こっちにおいで

粟楠会の車の中。情報を売って、依頼され降ろされるまでの世間話を適当にしていた。

「それにしてもあなたを相手にしているとたまにウチ専属で付いてくれる情報屋が1人欲しいなんて思いますね」
「確かに専属の方が安心感はありますよね。でも俺は粟楠会を裏切れるほどの度胸はないのでそこは安心していただいて構いませんよ」

その顔は俺の言葉を信じきっていない様子で。

「よかったら俺の助手を専属に回しましょうか?」
「助手? 助手なんてすでにあなたの息がかかっているようなもんじゃないですか」
「これがなかなか芯の強い子で。どうです? 最近の資料。その子が作ったものなんですよ」

まぁ、なかなか良くできてはいますねと好感触。ハッキリ言って完全に専属にさせる気はないがもう少し粟楠会の内部事情を知っておいても損はないだろう。でも、ういが俺に情報を渡したりなど素直に動くはずもないだろう。それも、おもしろそうだ。

「1度合わせましょうか? それから決めてもらっても構いませんよ」
「いいでしょう。今度連れてきてくださいよ」
「わかりました」

車が停車し俺は車を降り、家に向かった。家に帰ると暇そうにソファーにだらけている制服姿のういがいた。

「もう来てたのか?」
「この間言われてたの調べ終わって寛いでました。学校は途中で抜けました」

そうとだけ返し机にまとめられた書類に目を通しながら粟楠会の話しを切り出してみた。

「粟楠会って最近私が良くまとめてる資料渡しているところですよね?」
「そう。そこが1人専属の情報屋が欲しいらしい。派遣で行ってくるかい?」
「粟楠ってヤクザでしょ? こんな女子高生相手してくれないですよ」
「向こうには顔合わせるって言ってしまったしなぁ。まぁ、会ってからは全て向こうの判断になるけど。ずっと俺のとこにいても面白味もないだろうし外の空気を吸うのもいいかもしれないよ?」

ソファーに横になり無言のうい。肯定と受け取っていいのだろうか。それと簡単でいいから内部事情をと言うとそんな事だろうとは思ったけど。と返された。カンのいい子だ。

「それにういと敵対するのもおもしろいかもしれない」
「明日機の情報私には教えてもらえないですしね。それに臨也さんと敵対とか絶対嫌なんですけど」

常日頃反抗精神の塊みたいな奴がよく言う。まぁ、顔見せるくらいならと話しは決まった。


顔合わせの日ういは制服姿で現れた。相手に断ってもらうための策なんだろうか。粟楠会の事務所に行くとやはり少し怪訝そうな顔をされながらも部屋に通された。

「四木さん。前言ってた助手連れて来ましたよ」
「美鈴ういと言います」

ういを見てタバコをくわえようとしてその手を止めた四木さん。けどすぐ女子高生とはねぇと楽しそうに笑いタバコを口に咥えた。

「どうです? その反応ですといらない
感じですかね?」
「さすがに高校生を巻き込むのはね」
「でも実際私もう関わっちゃってますから今更な気がしますけど」

しかしと渋る四木さん。この反応は想定内だ。

「派遣という形でどうです? 1度こちらにお邪魔させていただいて気に入らなかったら返して頂いて構いませんよ。ういもそれでいいよね?」
「はい」
「とりあえず一ヶ月置いて見ますか。会長にも報告しておきます」


こうしてうちの優秀な助手は見事その一ヶ月も突破し今は粟楠会の専属として動いている。勿論派遣という形は崩していないから全ては俺の手のひらの上にはいるけどね。

さぁ、こっちにおいで
テヌート








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