11.胸に落とされる口づけに、私はすべてあなたのものなのだと思い知る。
「……んっ」
胸に顔を埋めて少し強く吸うと出来る赤い跡。それに反応するかのような甘い吐息。もう一度思いっきり吸い付くと頭を押し返されてしまった。
「あんまりつけないでください」
つけないでくださいって……。胸につけた跡をなぞっていた指をそのまま下にスルスルと移動させ、誰かがつけたであろう腰と太腿に付けられた赤い跡をなぞると小さく身震いしたうい。
「……何ですか?」
「こことここ。付けられてるの知らないのか? 四木さんか赤林さんにつけられた?」
「知らないですよ」
俺の手から逃れるように背を向けられてしまった。どうやら本人はつけられていることに気づいていないのかそれとも知っているのか。それはそれで2人からの挑発にも思えて。
「うい。粟楠の派遣行くの辞めるか?」
「それはもう無理じゃないですか?」
そんなことはわかっているが。どうしても取られたくないなんて思ってる俺は俺らしくないような気がして。そんな考えを誤魔化すように向けられた背中を抱き寄せた。
胸に落とされる口づけに、私はすべてあなたのものなのだと思い知る。
title:原生地
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