9.曖昧な関係

「茜ちゃんが家出したそうです」
「そう」

臨也さんにこの事を教えると、茜ちゃんにちょっかいがかかりそうで嫌だったけど、一応内部事情だしなぁ。これでお金もらってるから何とも言えないけど。

「周りの反応が普通だと思いますけどね。でも、茜ちゃんが自分の家の事情を知るには小さすぎるんですかね?」
「さぁ、そこは親の考えしか反映されないところだから僕らみたいなのが、とやかく言っても仕方ないけどね」

報告ありがとうと部屋を出ていった臨也さん。私も四木さんのところに戻ろう。


「四木さん。茜ちゃん見つかりました?」
「無事見つかったから今、迎えに行かせてるよ」
「そうですか。よかったです」

茜ちゃんからしたら何も良くない自体だけど、どうしようもないよね。

「うい。良かったら茜お嬢の相手してやってくれないか?」
「私ですか?」
「粟楠会の中で1番歳が近いし。赤林さんにもお嬢懐いてるのでちょうどいいと思って」
「……別に私は構いませんよ」

茜ちゃん。話には聞いてるけど実際に会ったことはない。赤林さんとの会話にたまに出るくらいだし。10歳くらいの女の子だっけか。


無事に保護された茜ちゃんは赤林さんに用事があるそうで、四木さんから話しを聞いていた赤林さんに一緒に行こうと誘われた。

幹彌さんの家に来るのは初めてだ。大きい家だなあ。玄関に入ると茜ちゃんが元気よく赤林さんに挨拶をする。私の事は知らないのか少し緊張した面持ちの茜ちゃん。

「初めまして。美鈴ういです。茜ちゃんの味方だからよろしくね」
「ういさん。よろしくお願いします」

ピンクが基調の可愛らしい部屋。赤林さんにはミスマッチ過ぎて少し吹き出してしまうと、色眼鏡の奥の瞳がこちらを見た。ごめんなさいと言う意味を込めて軽く頭を下げると軽く頭を叩かれた。

茜ちゃんの話しは要約すると自分が強くなりたいという話だそうだ。赤林さん曰く護身術を教えてる道場があるそうで、そこに茜ちゃんを通わすという話しに収まった。

「ういちゃんも行った方がいいんじゃない?」
「私一応臨也さんに習ってますから。それにこれ」

臨也さんと同じタイプの小型ナイフ。護身用にと臨也さんの元で働き出した時にもらったもの。今まで使ったことはないけど。

「茜お嬢はスタンガン持ってるみたいだし、ういちゃんはナイフか。危ない世の中だね」
「赤林さんには効かなそうですよね。このナイフ」

手元で出したりしまったりしていると危ないからしまいなさいと言われ、ポケットにしまい込む。

「赤林さんこのナイフ効きます?」
「そんなに気になるのかい? なら刺してみる?」

そう言って手を広げる。しまえって言ったり刺していいとか言ったり。本当に刺してやろうかと思ってしまう。

「絶対止められそうなので止めておきます」
「わかってるじゃない。でもういちゃん本当に周りに気をつけてよ」
「その時は粟楠のおじさん達が助けてくれるんじゃないんですか?」
「どうやら会長は派遣の子にはそういう護衛はつかせないみたいだよ」
「一応私は私で警戒されてるんですね」

やっぱ道場通おうかなあ。と漏らせばおいちゃんが守ってあげるよと言われた。

「頼りにしてます。四木さんも強いですしね」
「あの情報屋は? 一応恋人なんだろ?」
「あの人はアテにならないんで」

ないないと手を振れば酷い恋人だねぇと言われる。実際臨也さんにはどこまで思われてるかよくわからない。出会いは茶番だわ、粟楠に送られるわ。

「私、案外いいように使われてるだけなんですかね」
「それはおいちゃんの知るところじゃないよ」

メールの着信音がなり確認をすると臨也さんからのメール。夜家に帰るようにとのこと。……いきなりこんなメールをよこしてきて。本当よくわからない。








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