8.あなたが困った理由
「あんまりういちゃんとはお仕事したくないんだけどね」
「四木さんが赤林さんに渡せって言うだもん。しょうがないでしょ」
俺の家の前で待機をしていたのか最近出回り始めた薬を手にういが立っていた。あまり仕事のことに巻き込みたくない俺としては心苦しい。家の鍵を開けて中に入れる。
「あの角のクラブで若いお兄ちゃん達から買い取らせていただきました」
「はい。ご苦労さん」
俺は薬を受け取ってういちゃんに適当に座るよう促す。
「ういちゃん今の情報屋の仕事辞めようって考えたことないの?」
「時給いいし見つからない限り生活に困らないし今や粟楠に派遣されてますからね。もう抜けようにも抜けられないですよ」
「若いうちから裏を知ると苦労するよ」
「もうしてますし」
確かに辞められない所まで来てしまっているのは事実で。でも辞めたとしてもまだまともな職にはつけるはずだが。本人にその気は無さそうなので仕向けるのも無理。
「人1人救うのも難しいもんだね」
「何の話ですか?」
「おいちゃんのお嫁さんにでもなるかい?」
「ますます何の話ですか?」
「割と本気だったんだけど」
「赤林さんってロリコンなんですか?」
「ういちゃんそれ言われちゃうと事実的に否定できないね」
「そしたら四木さんもロリコンですね」
2人して若い娘相手に何やってんだって言われたら反論できない状況になっていて園原堂のお嬢さんや茜お嬢に対しての気持ちに加えて好きだという感情があるから困りものだ。
「ういちゃん。出来ればその話は目を瞑ってもらえると助かるんだけど」
「え。ああ、わかりました」
あなたが困った理由
テヌート
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