月見団子を召し上がれ

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「……トリックオアトリート?」

そう言ったのは私ではない。あの真田弦一郎だ。もう一度言うあの真田弦一郎だ。大事なことなので2回言わせてもらったが、未だに私達の間で時が止まっている。やっと出た言葉がどうしたの? 熱でもあるの? だ。

「失礼な。今年の誕生日に悪い事をしたから、少しでも行事を楽しもうと思ってだな」

話しを聞くと、今日朝からみんなが楽しんでいるハロウィンとはどういうものか柳に聞いたらしい。その時にトリックオアトリートと言ってみろ。少しは彼女と行事を楽しめと言われたそうだ。柳ナイス。今度なんかお礼をしよう。柳に心から感謝をしていると弦一郎がおもむろに口を開いた。

「それでトリックオアトリートとは何だ?」

……そこは教えなかったのか。柳。弦一郎勉強出来るじゃん。トリックは? いたずらだったか。トリートは? お菓子だったか? いたずらとお菓子? と首を捻る弦一郎。

「お菓子くれないといたずらするよって意味。はい。いたずらは勘弁してほしいから」

私は弦一郎の掌に飴を乗せる。大きな手に乗った緑の小さな包み。弦一郎を見ると少し照れながらありがとうと返してくれた。

「弦一郎ー。トリックオアトリート!」
「すまない。今は何も持っていないのだ」
「じゃあ、いたずらだね!」
「待て!」


月見団子を召し上がれ
(家にすごい余っていてな)
(家に着くまでいたずらするからいいよ)

私は弦一郎の手をとった



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手繋ぐのがいたずらだったり。真田が恥ずかしがってるのがいたずら。
特別共有と同じ夢主ちゃんです!
そして、見事に授業中に書いたヤツですw

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