カボチャのパイを召し上がれ

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「トリックオアトリート!!」
「何がトリックオアトリートだ」
「さすが発音が私と違いますね!」

それ以降は返事が返ってこない。完全に拗ねている。もちろん原因はよくわかっている。今年の誕生日を一緒に過ごせなかったあげく私の所属している茶道部がここ最近大会の練習やら他の学校の訪問などと活動が忙しかったのだ。もちろん景吾は、生徒会の仕事がある上にあのテニス部の部長なのだ。とにかく今日のこのハロウィンの日まで会えなかったのだ。

やっと茶道部の活動が一段落ついたので、テニスコートを覗きに行ったら、1人で練習をしている日吉君がいた。不思議に思い聞いて見たら今日、テニス部は休みだと言われた。ついでに日吉君にトリックオアトリートと言ってみたら飴をくれた。朝に鳳君にもらったやつだそうだが。

「何、日吉からもらってんだよ」
「なんでそこだけ反応するの……」

なんとなく生徒会室かなっと思って覗いたら見事ビンゴ。しかし、会えてもここは生徒会室。景吾は机でプリントと睨めっこ中だ。私は1週間部活が休みなのだが、当たり前のようにテニス部は明日からはまた部活がある。部活が終わるのを待っていればいい話しなのだが、残念な事に私はこの学校へ1時間半程度かけて来ている。景吾は毎回車で送ってやると言ってくれるのだが、家が反対方向なので申し訳なく断っている。こう考えてみると私と景吾はあまり恋人らしい事をしてないな。

1人で少し寂しくなってボーッとしていると近くでおいと声が聞こえた。その声で我にかえると目の前に景吾の顔があった。びっくりしすぎて声が出ない私を見てすっげー間抜け面と笑っている景吾。

「ケーキでも食べに行くか」

え? 生徒会の仕事は? お前がそこでボーッと考えてる間に終わらせた。さっ、行くぞと私の腕を引いた。


カボチャのパイを召し上がれ
(いたずらしたかったなー)
(手に油性ペン持ってるヤツにいたずらされたらたまんねーからな)



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すっごい遅くなったけど跡部様誕生日おめでとう!

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