印象的な

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朝は朝練があるから会えない。帰りは部活が長引いて会えない。そう、俺は隣の女子高の子に一目惚れをした。でも、会っただけでそれ以降は何もなし。部活帰りフラフラと土手を歩いていたときだった。

「ボール落しましたよ?」

この時の笑顔に俺はやられてしまった。ありがとうと返したらその子はすぐに友達と帰って行ってしまった。

「どうしようかのう。柳生」
「それは、それは。でも会う機会が無いとどうしようもありませんね。部活を休む訳にもいきませんし」

こんな事で休んだら幸村に何言われるかわかったもんじゃない。しかし、会った時が部活帰りという事は、彼女もその時間まで学校に残っている日があると言うことですよね。……なるほど。さすが柳生じゃのう。それにしても次いつ会えるんか。

「そういえば、今度私達の学校で練習試合がありますよね。その時よくそこの生徒がギャラリーに混じってるのを見た事がありますよ」

彼女が我々テニス部に興味があったら、覗きにくる可能性はありますよね? でも、あの時なんの反応もなかったしのう。友達もじゃ。

「それではもう、どうしようもありませんね。こうなったら学校の前で待ち伏せというのはいかがですか?」
「俺がいきなりそんな事出来る訳なかろう」
「仁王君は見かけによらずヘタレですからね」

それを言うなら柳生の紳士も疑うのう。チャイムが鳴る。また、会えた時は教えてください。では、先に戻っています。柳生は屋上から出て行ってしまった。

今日も帰りが遅くなってしまった。いつものように土手を歩いているとあの子を見つけた。今日は友達と一緒ではないみたいだ。声をかけないと。しかし、何て声をかけたらいいのだろうか。

「あの……? 覚えてます?」

向こうから話しをかけられた。これは予想外の展開じゃ。

「お……覚えとるよ。ボール拾ってくれた子じゃろう?」
「そうです! えーと、仁王雅治君ですよね?」
「何で名前知っとる……!?」

銀髪の頭が強烈に残っていて友達に話したらそれは立海のテニス部レギュラーの仁王君だよって教えてもらったんです。すごい有名なんですね。あと、コート上の詐欺師って言う異名まであるって。これはどうしたらいいのだろう。彼女自身は俺に興味あるんかのう?

「今度練習試合があるって聞いたんですけど?」
「あっ……あるのう」

本当はあまりギャラリーがいるのは良くないとわかっている。大半はテニスというよりプレイヤーを見に来ているのが事実だろう。

「実は友達が試合見に行きたいって……。でも、迷惑ですよね?」
「……大丈夫じゃ。お前さんは来る気はないんか?」
「私ですか?」
「良かったら見に来て欲しいなと思ってのう」

でも、私テニスってよく知らないんです。だから行っても……。俺のペテンってやつを見に来ればいいなり。これで少しは楽しめんか?

「じゃ、お邪魔してみようかな」


印象的な
(その笑顔)
(試合……負けてられんのう)

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