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何でなんだろう。私は弦一郎が誕生日だから何かしてあげたいだけなのに。

「私と過ごす時間なんてどうでもいいのかな」

私の独り言を聞いていたのかハハッと笑った部長。真田の事かい? と私の隣に座った。明日は弦一郎の誕生日。彼女として何かしてあげたいと思って朝部活へ一緒に来る時に聞いてみたんだけど……。

「弦一郎は何か欲しいものはない?」
「むっ。なぜだ?」
「だってもう少しで誕生日でしょ? 何かしてあげたいなーって思って」
「そうだな。特には……」
「じゃあ、部活終わりにどっかご飯食べに行こう!」
「中学生が夜に寄り道するなどけしからん。うい、俺の誕生日など気にしないで……」

私その言葉にイラッとして頬引っ張叩いちゃったんだよね。あーそれで真田の顔にうっすらもみじが。部員全員でういとなんかあったんだろうかとは話してたけど。

「そうだったんだ。うん。アレ私」
「俺達の予想的中じゃないか。それにしても真田はヒドイ奴だね」
「私。本当に何もしなくてもいいのかな」

隣にいる部長を見ると嬉しそうにクスクス笑ってるだけ。何がそんなに楽しいのやら。私はこんなに悩んでいるのに。

「真田は不器用なヤツだからね。照れてるだけだと俺は思うよ」
「堅物だから本気のようにもとれるけどね。まぁ、もういいや。誕生日メールだけいれておこう」

じゃあ、私先に帰るね。と部長に言って部室を出た。少し遠くに目をやると弦一郎の姿が見えた。確か部活終わりに職員室に用事があるとか言ってたっけな。声をかけようか迷っている間に向こうがこちらに近づいてきた。思い返してみれば今日弦一郎の頬を叩いてから会話をしていない事に気づく。余計に気まずい。……それに誕生日近くになんでこんなギクシャクした気持ちを味わらねばならないのだろう。こちらに向かって来る弦一郎を見たら反射的に足が逃げていた。後ろからおい、待て! とか聞こえるけど、足は止まらない。

……それに捕まるのは時間の問題だ。だって相手は皇帝様だから。現にあっという間に捕まってしまった。

「なぜ逃げる」
「反射的に足が……。あー。今日朝ごめんね。もう跡は残ってない?」
「大丈夫だ。あんなもの痛くも痒くもないわ」
「そうですか」

弦一郎は私の気持ちわかってくれないのかな。きっと私の一方的な気持ちであって。よく考えれば私なんて弦一郎の性格なんかと全然釣り合わないわけで。

「また怒らせてしまったか」
「ううん。弦一郎は悪くない。私が悪いだけだから」

また明日ねと言って帰ろうと思ったらいきなりすごい力で腕を捕まれた。

「明日……誕生日。一緒に金環日食を見よう」
「……弦一郎らしいね」
「なっ、なぜ笑う!」
「いいね! 見よう!」


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(ご飯……さ。やっぱ行こう ?土曜の部活終わりとかに)
(ああ。そうだな)



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ハッピィイバァアスデェエ!さーなーだー!

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