運命

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着飾って訪れるお世辞だらけのパーティー。隣には親から勧められた婚約者。私も前にいるどこぞのお偉いさんに作り笑いを浮かべる。少し視線を外すと、彼も同じような様子で、隣に婚約者。視線が交わり、彼がこちらにやってきた。

「高校が一緒の美鈴うい」
「初めまして」

私は彼の婚約者に笑いかけると相手も笑い返して来た。あぁ、可愛い人だな。

「跡部景吾君。前に一度話した人よ」
「初めまして」

彼も私の婚約者に笑いかける。私の婚約者が人当たりのよい人でよかった。

「じゃあ、俺ら挨拶回り残ってるから。行くぞ」

そう言って景吾は彼女をエスコートしながら、次の人のところへ行ってしまった。挨拶回りはほぼ終えたけど、まだまだ続きそうなパーティー。父と彼に体調が悪いからと先に帰るふりをして、彼が用意してくれたホテルの最上階。所謂スイートルームに入ると、彼がソファーでのんびりとしていた。さっきみたいなきっちりとした服装ではなく、ネクタイを外し、ボタンは3つも開いてしまっている。私も隣に座って彼に体を預けた。

「あー。疲れたー」
「遅かったな」
「うん。彼が人と話し込んじゃうし。そういえば景吾の婚約者可愛いねぇー。私とは大違い」
「ういの婚約者も俺と全然違うじゃねぇか」
「でっしょー」

景吾が私を抱き寄せてラッコ座りをする。目の前に用意されていたクッキーに手を伸ばして一口。

「なんか食べたか?」
「景吾は?」
「俺は食べた」
「じゃ、私も食べた」

本当は挨拶回りが忙しく何も口に出来なかった。空腹を誤魔化す為にクッキーをもう一口。

「ねぇ、私達。別れなければいけないの?」


運命
(離したくないけどな……)

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ありがちな話ですいません。家柄ってのは大変ですね。

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