退屈って

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1学期の始まりと言ったら、やっぱりこの行事、クラス替え。ウチの学校は人がうじゃうじゃいる学校だからよくあるクラス貼りだしはされない。一旦いつもの教室に行き担任からクラスが書いてある紙が配られるのだ。

みんな小さな一枚の紙切れに一喜一憂している。そんな中、私は憂鬱に一票。このクラスで1番仲が良かった人とはぐれてしまった。私は結構人見知りしてしまうタチなので友達を作るのが苦手なのだ。

離れちゃったねと友達と会話をし新しいクラスに向かった。3年A組。ここが新しい私のクラスだ。

「キャー跡部様Aだって!」
「ホントに! やった!」

「私忍足君と同じクラスだ!」
「えーズルイ!」

次々に上がるテニス部レギュラー陣の名前。私たちならではの会話だ。きっと2年の階でも同じ会話がされているのだろう。そうか景と一緒のクラスなんだ。

跡部景吾。私の幼なじみだ。中学に来てからは全くしゃべらなくてなってしまった。だって彼は淡々とこの学園の王様にまで上りつめてしまったから。元々庶民な私。景と幼なじみなのが奇跡に近い。昔から景にはなにかとお世話になっていたな……。

しかし今更私が顔を見せたって向こうはこれぽっちも興味は無いだろう。ただ私が顔を合わせたくないだけの言い訳に過ぎないのかもしれないが。クラスを覗くと景はもう自分の席に座って周りと話しをしている。彼の席は窓側の1番前。私の席は廊下側から2列目の1番後ろ。後ろ側の扉から入れば気づかれないだろうと入りそっと席に座る。向こうはこちらに気づかない。周りを見るとちらほら今まで同じクラスだった人はいるけど、大して仲がいい人達ではない。

つまんない1年になりそうだなーと考えていたら隣に誰かが立った。もしかしてまだクラスに来てない子が友達だったのかも。そう思い誰? と顔を上げた。

「俺様の顔を忘れるなんていい度胸じゃねーか」

景だった。なぜ今更話しをかけてくる。しかしこんな背とか大きかったっけ? こんなに男らしかったっけ? とか頭が混乱している。しかし周りからの痛い視線。あの女何? 見たいな。それで我に返った。

「ひ……久しぶりだね」
「ああ。久しぶりだな」


退屈って。


「跡部君。周りの視線が痛いから離れてくれると嬉しいんだけど」
「跡部君って何でそんなに他人行儀なんだよ。前みたいに景って呼べばいいだろ?」

(ますますあの女誰視線)
(痛い痛いよ)

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