頑張るから

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注・死ネタ

カーン
……カラン

ごみ箱に向かって投げた空き缶が縁に当たって地面に転がった。

「珍しいのう。丸井」
「たまにはこういう時もあるって」

そう言った丸井は立ち上がり缶を拾って戻って来た。今は全国3連覇を狙って練習中。休憩時間俺と丸井は自販機で飲み物を買う為に中庭にいた。飲み物をそれぞれ買いベンチに座って休んでいた。

ボーッとしながら関東大会の悔しさを思い出す。そして全国3連覇に改めて気合いを入れ直す。それとは別にこの大会には特別な思いもある。考えていた事を丸井が口にした。

「もうすぐ1年だな」
「そうじゃな」

美鈴ういが交通事故で亡くなった。立海テニス部には必要不可欠になっていた敏腕マネージャー。共に全国2連覇を果たした直後亡くなった。今隣にいる丸井は1番泣いていた。ういの彼氏という存在だったから。ういは3連覇を成し遂げようと毎日の様に応援してくれ必死に俺達をサポートしてくれた。

「なんとか立ち直ったけど、やっぱりふとした時に思いだしちまうんだよ」
「しょうがなか」

丸井は彼女にベタ惚れだったから。隣を見ると丸井は空を見上げていた。つられて俺も空を見上げる。清々しい青空だ。

「こうやって空を見るとういが元気くれる様な気がするんだ。あいつ空好きだったから」
「絶対3連覇したいのう」
「ああ」

しばらく空を見ていると真田の練習開始という声が聞こえた。

「行くかの」
「ああ」

立ち上がり丸井はまた空き缶をごみ箱に投げた。空き缶は綺麗な放物線を描いてごみ箱におさまった。


頑張るから
(天才的ィー)
(行くぜよ。ブンちゃん)
(おう)


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死ネタ。何気にこのコンビ初めて書いた気がする。

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