−1cmの距離
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立海大附属高校生徒会室。テニス部レギュラー・三強の1人柳蓮二とその幼馴染み美鈴ういがいる。柳は生徒会の会計役員だ。手元の仕事に集中している。ふと隣を見ると美鈴が机に突っ伏して寝ている。
「いつの間に……」
そう呟いた柳は美鈴の鞄からブランケットを出すと背中に掛けてやった。再び仕事に戻るとノック音がした。入ってきていいぞと椅子に座ったまま言うと、ドアの向こうの人物がドアを開けた。
「やはり幸村か」
入ってきた人物はテニス部部長。そして三強の1人のまお……ゲフン……幸村精市だ。幸村は柳の隣でぐっすり眠る美鈴を見て、近寄り美鈴の髪に指を通した。
「相変わらずういは『蓮君離れ』出来てないんだね」
そう優しく微笑んだ幸村。まだ、幸村の指は髪に指を通している。長くて綺麗な髪だ。
「それか柳がうい離れ出来てないのかな?」
手元の書類から目を離し、幸村に顔を向けた柳はそうなのかもしれないな、と笑った。
「すまないな。幸村。ミーティングに出れなくて。報告に来たのだろう」
「そうだった。来週の日曜、ウチの学校で氷帝と練習試合する事になったから」
「わかった」
じゃあ、それだけだからと髪に指を通すの止め美鈴のおでこにキスをして出ていった。また、仕事に集中した柳。さっきより心中は穏やかではないようだ。
「幸村のヤツ、油断も隙も無いな」
「?」
体を起こした美鈴。背中に掛けてあるブランケットが少しずり落ちる。
「ういも無防備過ぎだ。」
ますますはてなが増える美鈴だった。
−1cmの距離
(今更好きなんて言うつもりは)
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近すぎてマイナスなんです。小さいすれ違いです。ずっと一緒にいすぎてるので。
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