優しさ
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景吾が帰って来た。でも顔を上げておかえりという気分にはなれない。あーとにかく痛い。心配そうな景吾が私の顔を覗き込んできた。
「うい? 真っ青な顔してどうした?」
「あー。生理痛……。いったー」
そう言うと景吾の顔は真っ赤になった。顔を見られたくないのか反らしている。反らしても見え見えなんだけど。変なとこうぶだなー。まぁ、姉妹がいないから仕方ないんだろうけど。それより今回は珍しく重い。跡部の部屋で部活の帰りを待っていたけど、これはヒドイ。さっきからソファの片隅で体育座りでうずくまる事しか出来ない。
「薬とかは……」
「普段はこんなに重くないから持ち歩いてないんだよね。あーもうちょっとホント痛い」
「少しでも楽になれる方法はないのか?」
んー。何だろ。寝っ転がって静かにしてるしかないかも。そう言ったが早い。隣に座った景吾が自分の膝にブランケットをたたんでおいて、優しく私の頭を膝の上に置いた。いわゆる、膝枕。嬉しくなって何だか痛みが和らいだ気がした。
「何、笑ってやがる」
「珍しく景吾が優しいなーって」
「ったく。もう痛くないならおろすぞ」
「いやいや。痛いし」
この辺か? って言いながら優しく腰を撫でてくれた。うん。そこら辺かも。だからその顔やめろ。
優しさ
(ありがと、景吾)
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彼女にベッタベタな跡部。
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