借りた卒業アルバム

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今日は卒業生を送る会。きっとどこの中学にもあるだろう。それはともかく私と赤也は今日卒業アルバムが配られる。少し気になる見てみたい。会があるので、お昼の時間が長くなる。その時間を利用して、見ようという事になった。

「誰に借りる?」
「真田先輩は?」
「えー、一番貸してくれなそうじゃん」
「私に任せて!」

そして、真田先輩のクラスに来た。扉の向こうから真田先輩を呼ぶ。周りの友達と話していた真田先輩はすまないと言ってこっちに来た。

「どうしたんだ?」
「先輩今日卒アルもらいましたよね?」
「卒アル……?」
「卒業アルバムの略っス! もらってませんか?」
「卒業アルバムの事か。もらったがそれがどうかしたか?」
「あの卒アルの後ろってサインする場所があるじゃないですか。私と赤也で書きたいんで、貸してもらってもいいですか?」
「ああ。わかった」

ちょろい。卒アルを入手した私と赤也は自分達の教室に戻った。早く昼飯食って見ようぜ! と先にご飯を済まして、卒アルを開いた。個人写真と文集はスルー。でも、チラッと文集ページを見たらテニス部全員部活の事を書いていた。そせて、やっぱり気になるのは、こういうページだよな! と赤也がめくったページは、いろいろなランキングが載っているコーナーだ。

「カッコイイランキングは、やっぱ幸村部長が1位か」
「そうだろうね。仁王先輩は2位。へぇー田村先輩すごいね。3位にくいこんでるよ」
「田村って誰?」
「サッカー部のエースの人じゃなかったっけ? 私の友達にもファンいるし」
「ふーん。ちょっとういコレ見てみろよ!」

赤也が少し笑い気味に指を指したランキング。それは可愛い女子ランキングのコーナーだった。そこにはなんと1位に丸井先輩の名前が。

「あれ? 丸井先輩って女だったっけ?」
「んな、訳ねーだろ。すごいなコレ!」

あんまり笑うと丸井先輩の耳に入っちゃうからほどほどにしときなよと注意をしておく。でも、丸井先輩の事だからそんなに気にしてもなさそうだけど……。可愛い人ランキングの隣はおもしろい人ランキング。1位は真田先輩だ。

「赤也! 真田先輩おもしろい人ランキング1位だよ!」
「マジかよ! きっとあれだよな。最近の感じが通じないのが。さっきの卒アルといい」
「だよね。まぁ、慣れるもんだけど」

丸井先輩に引き続きさらに笑いが増している赤也。そんな赤也をよそに私は次のランキングを見る。優しい人ランキング……。予想通り1位はジャッカル先輩だ。確かにジャッカル先輩はとても優しい人だ。しかし、時にそれが仇になっている。赤也がいつもジャッカル先輩をいい風に言えば“頼っている”のがいい例だ。2位は幸村部長。3位は柳先輩だ。柳先輩は納得できるけど、完全に幸村部長はイメージでしょ。

「ねぇ、赤也。幸村部長優しい人ランキングで2位に入ってるよ」
「それイメージだろ」

やっぱり私と同じ意見。確かに優しいけどそれには必ず裏があるのはよく知っている。少しだけ幸村部長がこの会話を聞いていないか周りを確認してしまった。まぁ、いるハズないだろうけど。

「何だこのランキング?」

私が周りを確認している間に赤也は次のランキングを見ていた。頭にはてなを浮かべている赤也が見ているランキングを見る。

「実は好きだった人ランキング……? あぁ、今は違うけど過去に好きだった人って事じゃない?」
「なるほどな」

1位は幸村部長か。2位は柳生先輩。多分幸村部長は手が届かなさ過ぎて諦めた人が多いんだろう。少し下を見ると5位にジャッカル先輩。7位に真田先輩の名前が入っていた。それを赤也に見せるとまた笑いだした。

「何だかんだ言ってやっぱテニス部は人気があるねー。さっ、さっさとメッセージ書いて真田先輩に戻しに行こ」
「そうだな」

借りた卒業アルバム
(絶対立海を優勝に導きます! By.赤也)
(見に来て下さいね! By.うい)

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