立海雪合戦大会
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目を覚ますと窓の外は雪が積もっていた。今日の練習は休みだ! と二度寝をしようと再びベッドに入ったら携帯が鳴った。ベッドの上からもぞもぞと携帯に手をのばして確認すると部長からこんなメールの一斉送信がきた。
立海雪合戦大会!!!!!
「寝れると思ったんスけどねー」
部室に行くとすでに準備をしている先輩達。柳先輩に言うと、お前は筋トレになるとかそういう発想は無かったのかと言われた。正直なかったっス。
「それにしても唐突っスね。雪合戦」
「幸村の唐突は今に始まった事じゃない」
それもそうっスね。納得してしまう俺はいい感じにここに毒されているんだと思う。俺の着替えが済んだちょうどくらいに、部長が入って来た。
「みんなもう知ってると思うけど、今日は雪合戦だ。手袋無しでね」
誰も逆らう者はいない。手袋無しってしもやけですごい事になるじゃないっスか。家にポロナインあったかなと考える。そしてルール説明が始まった。ルールは3回当たったら負け。3回当たった人が3人出たらそこで終了というものだ。ちょっと面白そう。
「そうそう。その3名にならなかったらういお手製おしるこだから。みんな気合いいれてやるんだよ」
「えっ? でもさっきからういさん見てないっスよ。」
俺が使ってほしいあずきがあるから東京にまで買いに行かせたよと笑顔で言われた。……雪合戦開始!!
そういう事で朝の6時に部長のありえない件数の着信で起こされ、東京に行ってここに材料買いに行って来いというご命令があったので、急いでその場所をプリントして家を飛び出した。朝早いので、周りにはあまり人がいない。
東京に着いてそこに向かう。少し歩いていると見た事がある風景になった。確かここ氷帝の近くだったな。周りを見渡してみると見た事がある背中が……。
「あれ? 氷帝マネの?」
「え? 立海の? ここは東京だよ?」
「あぁ、まぁ……。わがまま部長のせいで。何かね私の所雪合戦が始まっちゃって……」
「読めた! 何か特典をつけろって事で何かつくらされるんでしょ?」
「当たり!」
「立海もかー。私の所もなんだよね。男って考える事は一緒だねー。どこの店に行くの?」
「ここなんだけど」
鞄からプリントした地図を見せると偶然にも行く所が一緒だったらしく2人でガールズトークをしながら買い出しを済ませた。
学校に着くころにはもう4時半。急いでおしるこ作りに取り掛かる。茹でていると柳が入って来た。
「いい匂いだ。食べられないのが惜しいな」
「え? 柳が3回当たったの?」
「ルールを聞いていたのか。雪合戦に関してはデータ不足でな」
雪合戦にデータもなにもあったもんじゃないと思うが。それにしても手が真っ赤。手袋は? と聞いたら無しなルールなものでな、と。きっと部長のめちゃめちゃな提案なのだろう。ポケットに入っているカイロを柳に向かって投げる。
「使って。あんまり意味ないと思うけど」
「いいや。ありがたい。ありがとう」
「いえいえ」
本当に大変な部長を持ったもんだ。作り終えたと同時くらいに、決着もついたみたいだ。
「しかし、ブンちゃんと赤也とはね……」
「おしるこ食べたかったぜ」
「悔しいっス」
意外な2人が3回当たったものだ。そのあと、幸村はご満悦そうにおしるこをほぼ1人で食べていた。あれ? みんなの分は? でも、とりあえずみんな口には出来たみたいだ。負け組は外で残りの雪かき。私はそっと取っておいたおしるこを負け組のところに持って行った。
(うい。それは残りかい?)
(……残りです)
(ういさん……)
(幸村君ホントにするどいな)
(仕方があるまい)
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柳はカイロの気遣いがあったので別にいい。
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