2.いちにのさんで君に落ちゆく

やはりまだ気持ちはついてこないけど自分が置かれる状況については理解出来た。

組織に狙われてるから公安に保護されること。期間はわからないとのこと。住む場所は降谷零さんの家。同居しなければいけないこと。夏休み明けは普通に学校に通っていいのかはまだわからないこと。あの家は引き払われ私の荷物はこの家に運び込まれた。

夏休みあまり外に出ないよう言われたためとても退屈だ。友達と遊ぶ約束とかあったけど状況が状況なので遊べなくなってしまった。あの事があって携帯も買い換えた。降谷さんは仕事が忙しいからなかなか帰ってこない日もあったが時間がある時には必ず降谷さんが一緒にいてくれたこともあってだいぶ心も平常に保てていられた。でもやはりどこか心は不安定で突然泣き出してしまうことは多々あった。

普段は案外普通に過ごしていた。降谷さんとテレビを見たり他愛もない話しをしたり心のもやもやも相談出来るのは降谷さんしかいなかったので随分いろんな話しを聞いてもらった。私はある日なんとなく気になる事を聞いてみた。

「よくわからないんですけどこういう時の保護って公安の関係者の家に住むものなんですか?」
「ういは例外だよ」

降谷さんはなぜか私を呼び捨てにしていた。年上だからあまり気にしていないしなんだか悪い気はしなかった。例外か……。

「でもここが1番安全って事ですよね。組織に見つからない訳ですし」
「見つかるはずがないよ。それに組織はまだういのことを探してる」
「探してるって何で断言出来るんですか?」
「ういだから言うけど僕は今その組織に潜入してるんだ。探り屋としてだからういの事を探る振りをして今組織を誘導して探せなくしてるんだ。あと普段は安室徹という名前を偽名として使ってる」
「そんな大事なこと私が知っちゃっていいんですか?」
「別に構わないさ。ういは事件の中心だし。それなりな事を知る権利がある。それに保護してると言っても公安を除けば年上の訳のわからない男の家にいる訳だし不安になると思ってね」
「なるほど」


そんな会話をした数日後、降谷さんから組織が捜査を引き上げたと報告され夏休み明けから学校に通えることになったのと高校生の間はここにお世話になる事になった。遺体はやはり見つからなかったとのことだったので現場に連れていってもらいそこにお花を飾ってきた。

両親が私の今後の為と貯めていた額は高校生活を送っていても余るほどの額だった。生活費は保護の為として公安が出してくれて何不自由なく生活を送れた。

夏休み明け心配をしてくれていた友達には両親が亡くなって大変だった事と今は知り合いのお兄さんの家に居候しているということにしていた。それから自分でもお金を貯める為バイトも始めた。

降谷さんとの暮らしも何も変わりは無かった。一緒に暮らすにつれて段々本当のお兄ちゃんの様に接してくれて生活はとても楽しかった。

そしていつの間にかそれは恋心に変わっていった。優しくていつでも構ってくれて仕事とはいえ自分の事を守ってくれる存在にある人を好きにならないわけがなかった。でも私と降谷さんは8歳の差があってどうしようもない壁に思えた。これは隠し通さなければいけない恋心と決めたまま時はあっという間に経ち高校卒業間近となっていった。

大学は推薦で早く決まり遊びまくっていた私はここの家を出ていけない事をすっかりと忘れていたのだ。







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