1.わたしをすくうひと

暑い夏の日で高校1年の最初の夏休みの真ん中の出来事だった。私は久しぶりにデートをしてくると出掛けた父と母を待っていたはず。両親は美味しいもの買ってきてあげるからねと笑っていて私は楽しみだなと家で留守番をしていたはず。

何でこんなよくわからないところにいるんだろう。

……美鈴ういさんですね? 公安の降谷零と言います。いきなりこんな事を言われると混乱すると思いますが緊急事態ですので、ご了承ください。あなたのご両親が大きな組織の取引現場にたまたま居合わせてしまい殺されてしまいました。その前お母様と電話されていましたね? その電話の着信履歴を組織に知られてしまってあなたを探しだそうとする動きがありますので今からあなたを保護をさせていただきます。まず車に乗ってください。

ここは……その公安の降谷零という人の家だそうだ。先程まくし立てられた事を思い出す。組織の取引現場。居合わせた。母と父がコロサレタ……? 殺された? よくわからなくなっていた頭が段々と整理されていく。隣には何も言わずいてくれる公安の人がいる。

「母と父が殺されたんですか?」
「ああ。いきなりで混乱しただろ。すまない。組織は手が早いから君を長い間匿わなければいけなくなった」
「母と父の遺体は……?」
「その組織は絶対に証拠を残さない。だから辛いが帰ってはこない」
「……」

全てがいきなりでやっぱりよくわからなからなくてもう両親に会えないんだという事だけ理解出来ていてただただその日は降谷さんに抱きかかえられ優しく頭を撫でられながら泣きじゃくった。

わたしをすくうひと





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