4.終劇

今朝、幸村が嬉しそうに俺に話しをかけてきた。内容は赤也が弦一郎の彼女を好きになったという内容だった。なかなかおもしろいデータだ。

「蓮二。今日の部活の事なのだが」
「あ……あぁ、何だ」

今日から少し練習メニューが変わるプリントをもらって話しをしていたら何かあったか? と聞かれてしまった。俺とした事が顔に出ていたのだろうか。

「何もないが。そういえば、彼女とは上手くいってるのか?」
「まぁ、そうだな」
「そうか」

それがどうかしたかと聞かれたが適当な言葉で流した。そうすると何かあると言えば最近赤也を説教する事が少なくなったと言いだした。なんとか笑いを堪える。

「それはいいことじゃないか」

そう言うとそれもそうだなと言いクラスから出て行った。きっと俺が予想するにもう部活内でこの話しを知らないのは弦一郎自身だけだろう。それに、わかったとしても赤也には強敵なライバルだな。そう考えていたら授業開始のチャイムが鳴った。

今日のダブルス練習の時、俺はそれとなく赤也に聞いて 見ることにした。

「赤也、実は幸村から聞いてしまってな」
「あー。もしかして、好きな人の事っスか?」
「そうだ」
「柳先輩は心当たりないっスか? 俺そろそろみんなに聞いてみようと思ってるんスけど」
「そういえば図書室以来会ってないのか?」
「廊下でたまにすれ違うんスけど、友達と一緒にいたりするんで声かけられないんスよね」

素直にバレていないのはすごいと思う。まぁ、帰る時間帯がバラバラだから気づくのは難しいかもしれないが。

「そうなのか。すまない。俺も心当たりはないな。それに、弦一郎以外はこの話しもう知っていると思うぞ」
「確かに先輩達しゃべっちゃいそうスもんね。副部長は興味なさそうなんで話すつもりはないんスけどね」

でも、知ってる可能性があるかもしれないしと呟く赤也を見て弦一郎の彼女だと言ってしまいたかったがみんなが教えていないようなので黙っておいた。




そして事件はこの部活終わりに起きた。赤也がいきなり弦一郎にあの話しを始めたのだ。みんなそこに大注目。ジャッカルや柳生も見ているということはやはり俺の予想は当たっていたようだ。

「副部長。ちょっといいっスか?」
「何だ?」
「放課後に図書室にいる黒髪で画集読んでる人のこと知りませんか?」
「もしかして……ういのことか?」
「副部長知ってるんスか!」
「当たり前だろう。俺の彼女だからな」

弦一郎が少し照れながら改めて彼女と言う言葉に顔を赤くしていることは見ないことにしておこう。赤也の方を見ると見事に静止画状態。人は本当に驚くと固まる。いいデータがとれた。しかしこの事が事件ではない。本当の事件は5秒後の 扉が開いた音とともに起きた。

「弦一郎。ごめん。今日は逆に迎えに来ちゃった! あれ? みんな何で若干笑ってるの?」

赤也の叫び声は部室中に響いたとさ。めでたし。めでたし。




戻る
×



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -