2.手がかりがなく？

---

「丸井先輩。仁王先輩。俺が言ってた人わかりましたか？」
「あ……あぁ、ちょっとわかんなかったぜよ。ごめんな」
「この学校人多いからな」

丸井ナイスないい訳じゃ。赤也には言わないでおこうとなったはいいが。しかしこういうことは起こるもんじゃな。

「そうっスか。また図書室行ったら会えると思うっスか？」
「さぁ、どうかのう」

向こうから真田のしゃべっていないで体を動かせと声が飛んできて解散。それより真田。お前の彼女が狙われてることに早く気づくべきじゃ。そう思いながらコートに入ると柳生が近づいてきた。

「最近切原君とよく話しをしていますね」
「そうかのう。いつもと変わらんと思うが」
「 そうですか。何やら楽しそうに話しをしているようだったので」

まぁ、話しの内容を教えても支障はなかろう。話しの内容、知りたいか？ と聞けば教えてもらえるのならと返って来た。

「真田って彼女おるじゃろ？」
「あぁ、ういさんですね。それが？」
「赤也のやつ最近好きな人が出来たらしくてのう」
「まさか」

なかなか察しがいいのうと言えば、本当なんですねと返って来た。そして丸井君と仁王君はその事を黙っているというわけですね。俺達の考えまでお見通しとは。

「それなら私も言わないでおきましょう。いずれわかってしまうことですからね」

そう言って柳生は練習に戻っていった。部内に広まりつつあるこの話し。赤也を見ると真田とサーブの練習をしていた。

「仁王君。練習始めますよ！」
「わかった」

赤也はいつ気づくかのう。




戻る
← →