自分の想いと彼女の思想

本格的に動き出した作戦。前から準備万端なので別に焦ることではない。ひとつ、やりたい。いや、やらなければいけないことがあるが。四番隊の子。お世話になったから挨拶くらいしておきたい。

四番隊隊舎に向かうと隊員は忙しなく救護を行っている。中には四番隊隊長さんの許可無しには入れないだろう。この忙しさなら尚更。入り口あたりから覗いてみると目的の人物がいた。とても声をかけられる雰囲気ではない。戻るかと足を返そうとすると隊舎から出てきた隊員に呼び止められた。

「何か用事でしたか?」
「いや、忙しいんならええんやけど、うい呼べるか?」
「ういさんですか? わかりました。少しお待ちください」

言葉の通り少し待っているとういが顔を出した。市丸さん、どうかされましたか? と彼女はふわりと微笑む。

「今は忙しいからええんやけど、今日時間空くときある?」
「申し訳ないです。今日は忙しくて。夜くらいしか」
「ほな、夜な。三番隊舎あたりにボクおるからきてやー」

返事を待たずに後ろ手に手を振って四番隊舎をあとにした。

夜、返事は聞かなかったが律儀な彼女は三番隊舎に現れた。そのままボクの家に案内する。緊張しているようで可愛らしいわ。

「まぁ、座って。お茶でもいれような」
「そんな! 市丸さんにそんなことさせれません!」
「ええの。キミはお客さんなんやから。座っとき」

少し納得してないようにも見えたがあげようとしていた腰で座り直した。その姿を見てお茶を淹れ始める。

「市丸さん、今日は何の用事ですか?」
「特に何も。一緒にお茶飲みたいなーって」

軽く音がしたと思った瞬間背中に自分とは別の体温が抱きついた。いきなり申し訳ありませんとの言葉とともにその体温はボクに体重をかけた。

「私は、市丸さんのこと何があっても信じてます」

あの手紙の内容のことだろうか。藍染隊長のことは話すわけないし。背中から小さく聞こえる声。卯ノ花隊長が珍しく様子がおかしかったんです。今、ここで何が本当のことなのか誰もわかっていないようなわかっているような気がしてるんです。声は震えていた。

「市丸さんの様子もいつもと違いますよ?」

泣きそうな顔させるために呼び出したわけじゃないのに。頭がいい子を好きんなっと同時にこれからの寂しさが襲ってきた。

「大丈夫や」

振り向き抱きしめ返す。ボク自身も震えているのだろうか。彼女はその後暫く泣き続けた。


自分の想いと彼女の思想










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