夜間休日

金曜土曜は休みだと言っていたが、昨日の夜珍しく愚痴っぽい電話がかかってきた。明日仕事が入ってしまったと。それでも、私の学校が終わるまでには終わらせるとそうそうに電話を切った。私は学校をサボる気満々だったので少し残念。明日は真面目に授業に出ますか。と言ってもあの様子では、秀一さん今日は徹夜する気だろう。きっと私の家に直で来て私が帰る頃には寝ているはずだ。

「布団出しておくか」

朝はギリギリまで寝ていたい私。着替えて身支度をして出て行くのみの私に朝布団を敷いている暇はない。クローゼットの奥にしまいこんである布団を引っ張りだす。……うん。埃っぽい。ベランダに出して適当にはたいて、床に敷く。前、友達に彼氏が泊まりに来たときに布団を敷いてるって言ったら驚かれたっけ。何でベッドで一緒に寝ないのだと。私のベットはソファベッドでとても2人で寝られたものじゃない。無理矢理秀一さんが潜り込んでくるときもあるけど。でも、最近は布団を敷いてもベッドで寝てるから意味をなしていないな。時計を見るともう23時。シャワーを浴びて今日はもう寝よう。布団を敷いた部屋を見て明日ここに秀一さんがいるんだと思うと嬉しくなった。


今日の大学は17時終わり。最近何かと忙しい。携帯を見ても連絡はなし。秀一さんは昨日みたいに急な仕事が入ったとか私と会うときに何かあるときしか連絡してこない。つまり、まだ仕事が終わってないのかはたまたもう家にいるのかがわからない。いつものことかと思いながら近くのスーパーへ。

何がいいかな。夜ご飯。というかここ最近ちゃんと食べていたのかさえ不安だ。栄養ドリンクやらで済ませていたとか言われてもあまり違和感がないので困る。とりあえずサラダを作ろう。お肉がいいかな。魚だと鯖が安いのか。照り焼きとかおいしいよね。お肉だと無難に焼き肉かな。生憎手の込んだものは作れない。自分の不器用さに笑う。よし、お肉にしよう。おばさんから試食を勧められて食べてしまったし。断れないたちじゃないよ。素直に美味しかったから。他にもおつまみと秀一さんが好きなお酒を買って、帰路についた。

外から見える自分の部屋に明かりはついていない。鍵を開け、部屋の扉を開けると荷物がある。しかし、敷いていた布団に姿はなし。ベッドの方に視線を向けるとそちらに寝ていた。うーんせっかく埃もはたいたのにな。まぁ、いいや。再び部屋の扉を閉めて買って来たものを冷蔵庫に入れる。とりあえずサラダだけでも作っておくか。

簡単にサラダを作り、やらなければいけないことは済ませた。シャワーに入るにも早いし、しかたない部屋に入るか。爆睡してるだろうから起きることはないだろうと思っていても、音をたてないように扉を開け、静かに電気をつける。それにしてもこれは本当に徹夜だったんだろうな。いつここに来たんだろう。ぐっすりと寝ている顔を見ながらそんなことを考える。この間買った薄いピンク色のゆったりとしたワンピースに着替え、パソコンを起動し課題もせず服の新作をチェックを始めた。

2時間くらい経っただろうか。ベッドの方から起きる音がして振り向く。まだゴソゴソしている秀一さんと目が合い、おはようございますと声をかけると寝起き特有の掠れ声でおはようと返ってきた。

「まだ寝ていたかったら寝ていても構いませんよ」
「いや、起きる。今何時だ?」

私はパソコンの右下を見て時間を確認する。

「20時です。何時から家来てたんですか?」
「15時くらいだ」
「徹夜してそのまま来たんですか?」
「ああ」

ということは5時間くらいしか寝ていないのか。徹夜してての5時間睡眠ってきつくないのかな。普段からだから平気なのだろうか。私からしたらもっとしっかり寝ていてもらいたいものだが。夕飯準備しますか? と聞きたかったが……ああ、起きぬけにお肉なんてキツイじゃないか。サラダくらいなら食べれるかな。

「秀一さんサラダ食べます? あと、一応お肉買ってあるんですけど食べれそうですか?」
「大丈夫だ」

一体どんな鍛え方をしていたらそんな体力が身につくのだろうか。わかりましたと答えてとりあえずサラダとドレッシングとフォークを持って秀一さんに出す。いただきますと食べ始めた秀一さんを見てお肉を焼く準備をしていると、扉が開いて秀一さんが顔を見せた。冷蔵庫を開けお茶を取りだす。ああ、飲み物忘れていた。

「酒買っておいてくれたのか」
「はい。おつまみもありますよ」

少し冷蔵庫の中を覗いて何か思ったのかちょっとコンビニに行って来ると財布を持って出て行った。何を買いに行ったんだろうか。いってらっしゃいとその場で見送る。フライパンを見るとお肉がちょうどいい感じに焼けてきたのでひっくり返した。


お肉が焼ける頃には、 秀一さんも帰って来ていて、手にはコンビニの袋。中身はチュウハイ。付き合えってことですかね? 秀一さんにお肉焼けましたよーと声をかけると、お皿を準備してくれた。

一緒に夕食も食べ終わり、私はシャワーに入りテレビを見ながらまったり。その間に秀一さんはお皿を洗ってくれていた。テーブルにはお酒とおつまみ。ちなみに私の家にはパソコンにテレビ機能がついているので、テレビはない。23時くらいはニュースくらいしかやっていなくここ最近起きた出来事などを見ながらゆっくりと時間が過ぎて行く。エフビーアイからすると日本で起こっていることはちっぽけなものに映るのかな。いやでも秀一さんは日本人か。

「最近は物騒だからういも気をつけろよ」
「秀一さんが言うとなんだか重みがありますね。気をつけます」

しかし秀一さんお酒強い。度が高いお酒のビンを見るともう半分以下なのに全然酔っている気配がない。私はチュウハイ一缶が限界だと思いつつもしっかり二本目は空いているが。秀一さんはまたコップにお酒をついでいる。

「秀一さーん」
「何だ」

何でもないけどね。何か名前呼びたくなるときってあるよねーと私はベッドに寝そべる。そうだなと秀一さんの返答が聞こえる。ベットに沈むといい感じにアルコールが回っていて気持ちがふわふわする。パソコンの電源を切った秀一さんはクローゼットを開け、置いてあるTシャツとスウェットを取り出しシャワー借りるぞと着替えを持って部屋を出て行った。そういえば服そのままだったな。よほど仕事に疲れていたのだろう。心の中でお疲れ様ですと呟いて壁の方を向いて横になる。廊下から聞こえるシャワー音を聞いていると眠くなってくる。暫くして音が止んで部屋の扉が開く音が聞こえた。うとうとしていて起き上がる気がない私。このまま寝てもいいかなと思っていたら1人分ベッドが沈んだ。

「秀一さん私布団埃はたいて、敷いたんで下で寝てもらえますか? 狭いです」

何も返答はない。私って冷たいかな。でも本当に狭いんだよね。まだ無言な秀一さんはいきなり私の腰に手を回して自分の方に引き寄せ、こうすればいいと耳元で言う。ああ、もういい声だから耳元はやめてほしい。もう、布団敷くのめんどうだから今度から敷くのやめよう。狭くてもいいや。体制を秀一さんと向かい合わせになるようにすると当たり前のように顔が近い。

「近いな」
「そうですね」

なんとなく頬にキスをしたら煽るなと、唇を奪われいつの間にやら秀一さんの顔が上に。夜は長いぞなんて意地悪く微笑まれたら私に拒否権なんてないのだ。

夜間休日








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