名前で呼んで

「赤井さん。赤井さん。赤井さーん。赤井秀一さーん。赤井さん!」

さっきから名前を呼んでるのに全然反応してくれない。絶対聞こえてるのに。ちょっと不機嫌そうなあたりまた何か企んでいるのだろうか。ああ、もうめんどくさい人だ。

「私なんかしました? 気に触るようなことしましたか?」
「ああ、自覚はないようだがな」

あー、ムカつく。出会いから可笑しな人だけど、付き合ってからもっと可笑しくて意地悪な人だとわかった。だけど好きな自分にも腹が立つ。話しを戻そう。自覚がないと言われても思いあたる節がないからしょうがないじゃないか。

「ヒント、名前だ」
「名前? ……名前で呼んで欲しいんですか?」

正解だと言わんばかりに私を抱き上げ胡座をかいてる上に私を向かい合わせに座らせ体を密着させてくる。こういうことを、意図も簡単にやってしまう赤井さんはどこかの漫画のキャラクターのようだ。そして、じーっと私の目を見てくる。これは名前を呼んでも離してくれないパターンだろう。んー、困った。でも、呼ぶしかないこの状況。そういえば赤井さん私が名乗ったときすでに私のこと呼び捨てだったよなと出会ったときのことを思い出した。少し照れ臭かったが秀一さんと呼んで見た。

「さん?」
「いや、さすがに呼び捨ては出来ないですよ。 私と赤井さんじゃない秀一さん歳すごい離れてるんですから」

舌打ちが聞こえたが知らない振りをしておこう。未だ不機嫌そうな秀一さんは仕方ないと私を解放してくれた。よかった。離してくれたと安心したのもつかの間。立ち上がって飲み物を取りに行こうとしたのに秀一さんに腕を掴まれて布団へと倒れ込む。上には逃げないようしっかり私に跨っている秀一さん。

「する時くらいは呼び捨てにする練習しないとな」

あの悪戯っ子みたいな笑顔。私は明日学校だというのに。しかし、スイッチの入った秀一さんを止めるなんて不可能なこと。私は近づいてくる秀一さんの唇を受け入れた。








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