敵わないなんて気づかなくていい

金曜。周りは花金だと賑わう学校帰り。病院に向かう為すぐ帰ろうと支度をしていると蘭ちゃんと園子に声をかけられた。

「うい! 良かったら今日遊びに行かない?」
「ごめん。2人とも。私用事があって」
「そっかー。って本当は帰って速攻で寝るんでしょ」
「ここ最近授業中よく寝てるもんね。疲れてるの? 大丈夫?」
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。じゃあ、私急ぐから行くね。さよならー!」

2人と別れて私は病院へと急ぐ中、片手に資料を手にして忘れている資料はないか確認する。途中制服から私服に着替え、病院へと向かった。

病院が近くなると見知った顔がチラホラ。ロビーに入るとすぐにジェイムズさんを見つけてまとめた資料を渡した。

「ういくん。ご苦労様」
「お疲れ様です。これ5日分の調査資料です」

それともう1人目的の人物。赤井さんが見当たらないが大方、水無怜奈のところで警備に当たっていることだろう。寝てなさそうだなとため息をついているところをジョディさんに見つかってしまった。

「平日は学校で週末は仕事。ため息もつきたくなるわよね」
「それは構わないんですけど。……赤井さん寝てないんだろーなって」
「そうなのよ。さすがシュウの部下ね。ジェイムズも私も周りも少しは寝てって言ってるんだけど。まぁ、言ったところで聞かないのはわかってるんだけど」
「やっぱりそうなんですね」

赤井さんに顔だけでも見せに行こうとジョディさんに挨拶をして病室に向かおうとしたら、他の捜査官から仕事を頼まれ、外での捜査となった。


「それではお疲れ様です」
「お疲れ様です」
「家まで送りましょうか?」

辺りは真っ暗。時計を見ると日付は変わっている。送ってくれるのはありがたいけど赤井さんに会えてないので、病院近くのコンビニで降ろしてもらうことにした。

「送ってくれてありがとうございました」
「いえいえ。それでは自分はこれで」

車を見送ったあとコンビニに入り、ダルそうなバイト君にコーヒーを2つ注文。ひとつはブラック。私は砂糖とミルクをたっぷりと。カップを2つ手に病院へと戻り病室の前に行くと予想通り眠たそうな赤井さんがいた。少し離れたところからお疲れ様ですと声をかけるとゆっくりと赤井さんがこちらを向いた。

「帰らなかったのか」
「上司が寝ずに残業してるのに私が帰れる訳ないじゃないですか」
「ういこそ寝てないんじゃないか。ジェイムズが関心してたぞ。あれだけの資料寝ずに集めないと出来上がらないからな」
「学業と仕事の両立結構しんどいですよ。今私赤井さんと同じくらい寝てないと思います」
「帰ってもいいぞ」
「嫌です。残ります。コーヒー買ってきたので今日はこれで乗り切りましょう」

ブラックコーヒーを赤井さんに渡すとありがとうと受け取り眠気を覚ますように喉に流し込む赤井さん。

「最近のコンビニのコーヒーって美味しいですねー」

私も赤井さんの隣に並びコーヒーを1口飲む。一応勤務中ではあるが束の間の休憩タイム。無言でいると赤井さんがこちらを振り向いた。

「ういは寝ろって言わないんだな」
「別に寝てもらってもいいですよ。言っても聞かないのは周知の事実じゃないですか。なら、私は赤井さんのやりたい様にしたらいいと思います。付き合いますし」

小さく笑った赤井さんは飲み終わっていた私のカップに手を伸ばし自分のカップと重ねて捨ててくるついでに仮眠してくると仮眠室へと向かった。










人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -