6.深夜の訪問者と謎
「お邪魔します」
「別に家に帰ってきたと思って構いませんよ」
時計がさす針は0時。今日はバーボンと2人きりか。バーボンの手にはコンビニの袋。夕飯食べてないのかな。キッチンの方では電子レンジの開ける音が聞こえて続く軽い電信音。
「ういってお酒飲めるのかい?」
「甘いのだったら飲めますよ」
また軽い電信音が聞こえて温めていたものと缶ビールとチュウハイの缶を持ってバーボンが隣に座った。温めていたものは唐揚げ弁当で油の香ばしい匂いがする。どうぞと私の前に缶チュウハイを置かれた。いきなり渡されて開けていいのかわからず私は缶をぼんやりと見つめる。隣では行儀よくいただきますと夕飯をマイペースに食べ始めているバーボン。体育座りでボーッとしている私に箸を止め飲まないのかい? と聞いてくる。
「よかったら付き合ってよ。それとも弱い?」
「んーそんなに飲んだことないので弱いのかわからないんですけど。とりあえずいただきます」
缶を空けて一口。ほんのりお酒の味と炭酸が口に広がる。特にすることもなく携帯をいじりながらお酒を飲む。これは一応お酒に付き合っているということになるのか? 別になんでもいいか。隣を見るともうお弁当は空で2本目の缶を開けているバーボン。
「お酒強いんですね」
「まぁ、弱くはないかな」
そうなんですかと適当に返し私も最後まで飲み干す。久しぶりにアルコールが入った体はいつもより少しだけ怠く缶を捨てるという行為も億劫になってしまう。ソファを背もたれにするとソファの柔らかさで眠気が襲う。ここで寝るのはまずい。せめてベッドで寝なくては少し体を起こそうとしたらバーボンが私の顔の横に片手をついた。これはどういうシチュエーションだ。
「あれ? あんまり動揺してないみたいだけど」
「驚いて胸キュンとかどっかにいっちゃいました」
私ベッド行くんでと再度体を起こそうとしたらもう片方の手も顔の横につかれてしまいバーボンの腕に挟まれ身動きが取れなくなってしまった。
「あの......バーボン?」
「ういが勘違いしてそうなので、言っておこう。僕達が君のことを取り合っていることを」
誰が保護をするかってことなのかな? けどえふびーあいは保護する気無さそうだし争うなら組織とかだろう。私はいつの間にか顔も近くなっているバーボンにジンに保護されても公安に保護されてもどちらでも構いませんよと答えるとわかっていないなとどこか呆れ顔で笑われる。
「この取り合いにはライも混ざってることを忘れないようにね」
「何の話ですか?」
どこか諦めたように3人の話だよと私の横にあった手は退いた。バーボンの行動もよく分からない上に話の内容もよく分からない。もう寝ますねと私はベッドに向かった。
深夜の訪問者と謎
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