1.不思議な関係

鍵の開く音がしてジンが帰ってきたと思いおかえりとリビングから声をかけるとちょっと玄関まで来てくれと言われ出てみると目の前には2人の男性。ジンは世話係だと言った。どういう意図があるのかは知らないが一人は母の写真で見たことがある顔。......スパイだ。ライとバーボンと紹介された2人は戸惑うでもなくよろしくと軽く挨拶をした。

「こちらこそ宜しくお願いします」

ジンは満足そうに笑った。2人にはもう合鍵を渡してあると言って家を出て行った。取り残された私とライとバーボン。んーとりあえず時間は17時。今日の夕飯はベタにカレー。世話係と言われても私は家事全般出来るのでどちらかと言えば監視が増えただけのことだ。監視といえど一緒に暮らすという仲になるのだから夕飯くらい一緒でも構わない。

「2人ともこの後何か用事ありますか?」

バーボンはどうやら予定があるようで時計を見てそろそろ行かなくてはと言っている。ライは特に何もないらしい。

「いろいろ話しはしたいのですがそろそろ出ます。では、また」

足早に出て行ったバーボンの背中を見送ってライと2人きりになった。狭い玄関先で話しているのもなんなのでリビングへと移動する。ソファーに座ってもらい私も向かいに座る。

「あのこの部屋盗聴器とか監視カメラとか無いので言いますけどあなたエフビーアイの人間ですよね?」
「母親に聞いていたか?」

聞いていたというよりは写真を見て知っていたと答えると短くそうかと返ってきた。私はエフビーアイで保護されることになるのだろうか。

「別に君のことを探していたわけではないがまさか会えるとはな」
「じゃあ、別に私保護されるとかではないんですね」

私はあくまでジンが保護者代わりなだけであって組織とはなんら関係のない人間だ。父が中心人物に関わっていたのは確かだが。父と母がどうやって知り合い私を産んだかはよくわからないが父と母が私を残して自殺をしたのは事実だ。その後いきなり現れたジンが保護者がわりとなり今こうして暮らしている。

「どちらかというと日本の警察に保護はされるかもしれないがな」
「ライに言っても関係ないかもしれないですけど私ここを離れるつもりはありません。……夕食カレーなんです。食べていきませんか?」

ああ、せっかくだしいただこう。じゃあ、温めますね。


不思議な関係




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