10. これ以上のさよならなんて知りたくない

最近のバーボンは苛立っている様に思えた。何となくだけど。そんな様子のバーボンにライの事を聞くのは気が引けたけど、私も一応面識がある身だから知る権利くらいあると思うんだ。

「最近ライ見ないですね」
「……」

何だか雰囲気が一層悪くなってしまった。今ライの名前を出すのは組織にとっては苦いものなのか。

「赤井秀一は組織にエフビーアイだとバレて潜入捜査は終わったよ」
「そう……なんだ」

ライがそんなミスをするものなのか。バレるときはバレるものなのだな。もうライに会う事は無いのだろうと考えると少し寂しい気もした。

「ういからしたらいい話かな。組織が潰される可能性も減った訳だし」
「……そうですね」
「じゃあ、僕にも早くいなくなって欲しいのかな?」
「今の話の流れだとそうなっちゃいますね」

この人もスパイだし。私の立場から言ったら組織を潰したい人はみんな敵になる。だけど組織は悪い事をしていてこれだけ追跡をされればいつかは捕まる。そんな少し考えればわかること。

「私って保護されたらどうなるんですか?」
「何だかういは最初からジンと離れる事になるのを予感している感じがするな」
「そんな事ないですよ」

覚悟はしてますけど。声には出さなかったけどやっぱり私はジンと離れ離れになってしまう未来しか見えなくて。隠した声とともに泣きそうになってしまう顔を隠した。ジンに着いて行くなんて到底無理な話しなのだ。

これ以上のさよならなんて知りたくない




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