甘い一口

暇だったから若を家に呼んだ。若もヒマだったらしくいつもなら断られるのに、行くと言われ今は2人でTVを見ながらまったり。呼んだからと言っても特にやる事がないから、適当に再放送のバラエティーを見ている。

唐突に甘いモノが食べたくなって冷凍室を覗くと前気になって買っていたキャラメルアイス。それを持ってソファに戻る。どんな感じなのかと楽しみに蓋を開けていたら若が顔をしかめながらこちらを見ていた。

「どうした?」
「何だその甘ったるそうなアイス」
「友達の間で人気だから買ってみたの」
「よく食えるなそんなもの」
「あーそういう事言うんだ。あのね、女の子は甘いモノが好きなの。若も彼女出来た時のために覚えておくといいよ」

スプーンですくって一口、口に運ぶ。うん。甘党の私にはちょうどいい甘さ。まだこっちを見てくる若。まだ文句でもあるのか。若を無視しながらアイスを食べ進める。確かカフェオレもあったな。今度買って来てみよう。

「……一口食べる?」

相変わらずこっちを見てくる若。いい加減食べずらくなって、声をかける。でも、声をかけたらかけたで、顎に手を当てて何かを考えてる。元々よくわからないとこがある若だけど今日は一段とわけがわからない。最後の一口を食べようとした時だった。若に腕をとられそのスプーンは若の口の中へ。

「あー! 最後の一口!」
「甘ッ」

そして次の瞬間に唇を塞がれて舌が侵入してきて、若の舌が口内のアイスを舐めとるように動き回る。っていうか何。この状況。必死に肩を押すけど敵うわけもなくされるがまま。……やっと離れてくれた若の顔をまともに見れるわけもなかった。


甘い一口
(女は強引なのも好きなんだろ)








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