揺らぎ

「……うん。そうなんだよね。うんうん」

随分長い電話だ。昔の友人から電話がかかってきたそうだ。そしてその友人は男だというのだから少し妬ける。彼女は沖縄出身だが東京の暮らしの方が長いらしく訛りはない。

「そっかー。うん。じゃあ、こっちに来たら会おうよ! じゃ、またね!」

長電話が終わりルンルン気分で夕飯の準備にかかるういを見る。今日は久々の休み。俺が出掛けようかと聞いたら久々の休みだから家でゆっくりしようと言ってくれた。2人でいろいろ喋りながらダラダラ。俺にしては珍しい1日だ。でも、こんな日も悪くない。そんな休日の夕飯前にかかってきた男からの電話。やっぱり妬けてしまうものだ。

「今日はハンバーグです」

キッチンから聞こえてくる声。俺も手伝おうとキッチンの方へ移動する。ボールの中にはこねられた具材達。何か手伝うことはないかと聞いたら、タネを平らにして欲しいとのこと。元々そんなに料理はしないので最初にういに手本を見せてもらい見様見真似でタネを平らにしていく。

「景吾はすぐコツを掴んじゃうんだからずるいなー」

俺の手元を見ながらそうつぶやくうい。全てのタネを平らにしてトレイに並べる。空いたボールを洗おうとスポンジに洗剤をつけようとしているとこに続けてういが呟いた一言に俺は洗剤を出し過ぎた。


揺らぎ
(さっきの電話に嫉妬したんでしょ。料理手伝うなんて珍しいもの)




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