ああ、大馬鹿だ

「跡部なんか嫌い」

聞こえたため息。めんどくさいやつだと思われたかな、でも毎日のように自分の彼氏が自分以外の女子に囲まれていて嫌気がさす。私に危害がないよう、学園内で私と跡部が付き合ってることは秘密になっている。レギュラー陣は知っているが。でも、そろそろ限界に来ている。

今日はバレないようにして跡部の家に遊びに来た。もちろん跡部は部活があるので私は先に来て部屋でゴロゴロしていた。急に込み上げてきた寂しさ。部活から戻ってきたばかりの跡部にいきなりこんなことを言ってしまった。跡部は跡部で何かを察してくれたようで。

「俺はお前が変な目に合わないように、周りに黙ってようと言ったんだ。それはわかってるよな?」
「わかってるけど、辛いよ」
「……今度どっか出かけるか?」
「みんなに、言っちゃおうかな」
「おい。俺の話し聞いてるか?」
「でも言ったら恐ろしいことになりそうだよね」
「……どうすることもできなくてごめんな」

そう言った跡部は私の頭を優しく撫でた。ヤバイ、泣きそうだ。

「もう、嫌い。嫌いだバカ」


ああ、大馬鹿だ
(跡部にそんなことを言わせたいわけじゃないの)




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