ライバル宣言

放課後部活も休みでなんとなくういと教室に残っていた。特に話しをする訳でもなくボーッと携帯でニュースを見ていた。

「そうなんだよ」

いきなり声をあげたうい。なんかずっと考え事しているみたいやったけど。

「何や、急に自己解決かい」
「え?」
「え? やあらへん。何か考え事しとったんちゃうん?」
「考え事? 別にしてへんけど。何で財前君は鈍感なのかなーと思っとっただけで」

ういは財前が好きだ。俺がずっと隣にいたのにテニス部にひょこっと現れよった財前に一目惚れをしてしまった。その内告白すればええなんて甘い考えの俺が悪かった。

財前は鈍感。いや結構鋭い方やと思う。恋愛ではどうかはわからへんけど。そういうういは鈍感やな。俺達14年も一緒にいてるのに。

「やっぱり会話が足りないんかな? それにしてももう1年は経ってるよね」

告白してまった方が早いんちゃうん? 何て絶対言わへん。俺だっていきなり現れたヤツにずっと大事にしてきたういをそうやすやす取られるわけにはいかない。

ういの携帯からどっかで聞いたような着メロが流れる。携帯を確認したういは携帯から顔を上げると友達が今ヒマなら遊ぼうってメール来たから私、先帰るねーと携帯をいじりながら出て行ってしまった。

俺も帰ろうと携帯を鞄にしまって立った時、財前が教室に入って来た。部活が休みな日は早く帰る言うてたのにまだ残ってたんやな。今一番見たない顔なんやけど。早う帰ったんやないんやと言えば、いつも図書委員の当番出てなくて今日部活休みなら当番していけと先生に言われて仕方なくっスわとかったるそうな財前。

「俺そんな話ししに来たんちゃいます。来週の練習試合のプリントもらえます?」
「昼休み謙也からもらわなかったんか?」
「風で飛ばされました」

昼、俺とういはオサムちゃんに呼び出しをされていて急遽、謙也にプリントの配布を頼んだ。詳しく聞けば屋上でご飯を食べながらプリントを配ったらしくその時財前のプリントが風で飛ばされたらしい。他の人達に写メらせてもらおうと思ったがみんなが出払ったあとの出来ごとだったらしい。俺やったら予備持ってると思ったんかな。

「俺予備持ってないで。オサムちゃんからもらってきいや」
「さっき職員室行ったらもう帰った言われたんスわ」

多分オサムちゃんの事やから部活ないからってさっさと帰ったな。俺は鞄から練習試合の事が書かれた紙を出す。

「写メらせてもらいますわ」
「なぁ、財前。ういのこと好きなん?」

写メの音が間抜けに響く。ぶれたやないですかと撮り直す財前。何や。図星か。もう一度カシャと響く音。

「先輩やってそうやないですか。幼馴染かなんか知りませんけど、うい先輩は俺がもらいますから」

プリントを返される。そうそうに帰ろうとする財前を呼びとめてそう簡単に渡すかと言っておいた。


ライバル宣言





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