息ができない

「ひーよー」

邪魔ですなんて言われながらもベタベタひっつく私。ひよの冷たい態度なんてもう慣れっこだ。

「ひーよー。構ってよ」

せっかく家に遊びに来たのに、若は読んでる七不思議に夢中だ。これもいつもの事だけど。確かに今日は連絡も何もせずに家に来てしまったからちょっと怒らせてしまったけど。

私は普通に地元の中学校に通っている。そんな私があの氷帝学園の生徒。しかもあのテニス部のレギュラーと付き合っているのだ。正直自分でも奇跡に近い話しだと思う。告白をしてまさかOKもらえるなんて予想の範囲外だった。

告白するまでそれなりに遊ぶ仲で、その時もテニス以外にはすごい冷めてるなとは思っていたけど、 付き合って改めてそう思うようになった。どう考えてもテニスが恋人みたいな人が私なんかと付き合う気になったんだろう。若にくっ付くのを止めて、出されたお茶を飲んでいると、若の視線がこちらを向いた。

「……何?」
「何はないでしょう。構ってほしかったんじゃないんですか?」

いや、そうだったんだけど。私の中でひとつ疑問が出て来て。若は読んでいた本を開いたページをそのままに伏せて、私に向き合い何ですか? と聞き返す。どうして若は私の事好きなの?と言うとさぁ、自分でわからないです。との答え。

「さぁ? ってそれこそないよ! えー、もしかして何となく付き合ってるの?」

ショックーと後ろのベッドに体を投げ出して、枕に泣きついている振りをする。なんか彼氏にそう言われるとショックだ。深いため息をつきそうになった時若が私の頭を優しく撫でた。びっくりして枕から顔をあげようとしたら、少し強い力で枕に顔を押しつけられた。

「ふべっ」
「もっと可愛げのある声は出ないんですか」

その言葉と逆に手は優しく私の髪を撫で続ける。若が壊れた! 何かひどい事考えてません? 私の考えを読んだように不満気な声が聞こえる。枕に顔を押し付けられた状態の私は上手く声が出ないため、少ししか動かない首を横に振る。

「わからないっていうのは、どうしてこんなにういさんのことが好きなのかわからないってことです」

ひよ。耳赤ーいってからかおうとしたけど今の言葉が嬉しくて。俺きっとういさんが思っているよりういさんのことしか考えてないです。私は慌てて枕に赤くなった顔を押し付けた。


息ができない
(ひ、ひよがデレた)
(ういさん耳赤いですね)
(ひよに言われたくない!)




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