泣きたいのです

「何泣いてる」
「泣いてないから」

泣いてない。そう、泣いてない。泣いているとしたらそれは跡部の思い違いだ。好きだった人に告白して振られた。所謂失恋。落ち込みながらゆっくり帰り道を歩いていた。隣で私の歩調に合わせながら歩き始めた跡部。着ているのは制服ではなくかの有名な氷帝レギュラージャージ。

「練習中なんじゃないの? 戻りなよ」
「お前が泣いてるのが気に食わないんだよ」

跡部の気分なんて知ったことではない。1人で泣きたいのに。人前で泣くことが苦手な私の涙は引っ込んでしまう。

「私は大丈夫だから」
「……明日な」

そう言って跡部は徐々に走るスピードを早め数分後にはその姿は見えなくなった。






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