お酒注意報
頭痛と酷い吐き気に起こされた。完全に二日酔いだ。飲んでそのままソファーで寝てしまっていたので体もあちこち痛い。テーブルの上には缶ビールがいくつも転がっている。時間を確認すると11時。昼くらいにういが来るって言ってたな。また、怒られる。携帯に連絡は無いから連絡無しで来るつもりなんだろう。
「シャワー浴びるか……」
フラフラの体でシャワーを浴びていると玄関の開く音が聞こえた。お邪魔しまーすとくぐもって声が聞こえる。大きい声を出すと頭に響いてどうしようもないので俺は無言のままシャワーを浴び続ける。リビングの扉が開く音が聞こえると同時にういのため息も聞こえた気がした。
下だけ履いて濡れた頭を拭きながらリビングに戻るとういはテーブルの上を片付けていた。
「銀ちゃん飲み過ぎ」
「わりぃ」
弱いんだから少しは節制してよと年下の女、ましてやまだ酒が飲めない未成年に言われる俺はどうなんだろう。また倒れるようにソファーに寝転ぶとちゃんと頭拭きなよー。味噌汁作る? と優しい声が近くでする。首を動かすのもダルイ俺は左手を伸ばし空中でういを探す。サラサラとした髪に手が当たりそのまま頭に手を置く。
「ういいい奥さんになるよ」
目元に腕を置いている俺はういの表情は見えないけど多分顔真っ赤になってんだろうな。馬鹿なこと言ってないで大人しく寝ててと勢い良く立ち上がるので俺の手がずり落ち、ういがキッチンに向かう音が聞こえる。
「ほんと、どっちが年上かわかったもんじゃないよ」
言い返さない俺は素直にすみませんと呟いた。