やる時はやるのです

なんかものっすごく機嫌が悪い。担任の。入ってきた瞬間からこうなんか空気が悪い。機嫌が悪いのに声は落胆している。いつも朝はテンション低い方だけどいつもより低い。

私とういの今の席は奇跡的にも隣同士で真ん中の列の前から2番目という1番先生の目に付き易いところの席なのでちょくちょくと目が合う。なんだかとても気まずくて隣の席のういを見るとういも同じ気持ちなのか口パクでヤバイよと言った。

それを見たのか見てないのかわからないが帰りプリント渡したりするから帰り遅くなるからなと変わらず低いテンションで言い、トボトボと教室を出て行ってしまった。クラスは沖田先生のテンションが低いと騒ぎ出した。

「誰か数学出し忘れたんじゃね?」
「いやーこの間は全員出てたと思うけど」
「彼女さんとなんかあったんじゃない?」
「えー沖田先生彼女いるの? いたとしても沖田先生全部自分のペースで絶対彼女なんかにテンション落としたりしないと思う」

みんなそれでファイナルアンサー? うんうん。答えはどれも違う。彼女までは正解だが彼女に振り回されてああなったに違いない。隣のういはういちゃんにラインしまーす。部活終わったあと呼び出しでーすと送信ボタンを押した。

帰りのHRはやはり朝のはマズイと思ったのか幾分かテンションが戻っていた。沖田先生が1年の教科担任でないことにこれほど感謝した日はないだろう。

HRが終わり吹部の練習が終わるまで2時間ほど時間がある。ういちゃんからの返事で愛ちゃんも一緒に来るとのことだったので今日はそのまま近くのスーパーのフードコートで夕飯を済ませると銀ちゃんにラインを送った。ういも食べて帰るつもりだ。

2人で最近あった彼氏の面白い話しをしているとあっという間に時間が経ちういちゃんと愛ちゃんがやってきた。

「部活お疲れ!」
「先輩たちもお疲れ様でした」
「先輩たちすみませんでした」
「まぁまぁ、理由はちゃんと聞くから。ういちゃん。まずは何か買ってきなさい。カツ丼にする?」
「取り調べじゃないんだから」

まるで尋問するような雰囲気のういに私は突っ込む。愛ちゃんがういちゃんを連れてモックを買いに行った。まゆちゃんは新作のタピオカジュースを買いに行った。あとで銀ちゃんに写メ送るんだろうなー。バカップルめ。みんなが買ってきてそれぞれ食べ終わった頃合を見計らってういちゃんに声をかけた。

「で、何があったの?」
「それが私ひっぱ叩いちゃって」

その言葉に私もういも愛ちゃんも凍りつく。あの沖田総悟をひっぱ叩いた!?!? 予想以上の答えに言葉も出ない。そりゃ、沖田さんは私達に対してはかなりのドSだがういちゃんのことになると滅法弱いのだ。確かに普段は普通にSだけどいざとなると勝てないみたいなそんな感じだ。まぁ、幼馴染みだし昔からよく知ってる仲だからそういう力関係があるのもあまり不思議ではないが。

「ひっぱ叩くってそれ理由があってだよね?」
「当たり前じゃないですか!」

愛ちゃんが聞くと勢いよく答えるういちゃん。そうだ。こんないい子が人叩くなんてよっぽどの理由があるはずだ。もうこの時点でういちゃんに責任はない。沖田さんが悪い。それはみんな一緒の様で何があったの? とやや深刻になる。

「その昨日の夜泊まる予定だったんです。そしたら制服のままさせろって迫ってきて。別に次の日休みだったら構わなかったんですけど今日学校じゃないですか! やめてって言ってもやめてくれないのでほっぺたひっぱ叩いて家帰っちゃったんです」

愛ちゃんが乾いた様にハハ、そうなんだーと目が明後日の方を見ている。その様子だと次の日学校なのにシちゃったクチだな。

「確かにそれは叩くしかないよね。どうしたら許せる?」
「別に謝ってもらえればそれでいいです」
「よしじゃあ、今日謝ってもらおう。家に行こう」

ういは今日の沖田さんのテンションがだいぶ怖かったのかそう強く勧めていた。ういちゃんもその気迫に圧されはいぃと答えていた。

「とりあえず謝ってもらったら連絡いれてね。私も朝まだあの調子だったらさすがにどうしてあげたらいいかわからないから」

わかりましたとそこで解散となった。


「総悟ー」

そうインターホンから呼ぶと速攻で玄関の扉が開いた。入りなせぇとリビングに通されソファーに座る。

「昨日はすまなかった」
「うん。謝ってくれるだけでもう充分だよ。私も叩くことなかったよね」
「いや、叩いてくれて目が覚めたさぁ。今度からちゃんといいか聞いてからにする」
「えっ、あっ、うん。そうだね」

大事なことだけど内容が内容だけに何か締まらない。でも、今度の土曜の夜とかなら、ね。とか言っちゃう私もどうかと思った。ちゃんと先輩達に連絡はいれました。






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