ニット帽の彼は何者?

あれからも変わらず2つの喫茶店に通うものの赤井さんの姿は見なかった。お礼を言えずじまい。私は2年生になり1学期に突入していた。勉強が少し忙しくなり喫茶店に寄ることも少なくなっていた。今日は学校で7時間目まで終え、外は少しうす暗くなり始めている。友達と校門前でバイバイをしてスーパーに向かおうとするがとてもだるい。今日は金曜日。春休みボケが抜けないままなので1週間の疲れが一気にきた。明日スーパーに行こう。もう、コンビニ食でいいや。お菓子も買ってダラダラしよう。

家の近くのコンビニに入るとだるそうなバイトの声。とりあえず適当に弁当、お菓子と手に抱え込む。コーヒーに手を伸ばすと誰かの手と重なった。何だこの少女漫画みたいな展開。いや、コンビニ弁当抱えてるヒロインなんていないか。顔を上げるとニット帽。顔を見ると……赤井さん!?

「あの時振りだな」
「あの時はごちそうさまでした。あの、ありがとうございました」

やっとお礼が出来たのとこんなところで会うとはという驚きが隠せない。それにしても手に持ってるものを凝視するのはやめてほしい。恥ずかしいじゃないか。その手に持ってるものはと聞かれ夕飯ですと答えるしかない私。料理はできます。めんどくさいんです。あっ、手の込んだものは作れないです。未だに私の手の中にある弁当を見ている赤井さん。私はとにかくこの場を離れようとコーヒーを手にレジへ向おうとしたら手の中の弁当を奪われてしまった。

あの伝票のときと同じだ。弁当を元のところに戻しそれだけ買ってこいと言われなぜか素直にお菓子だけ購入する。どうもあのペースに乗せられてしまう。赤井さんも隣でコーヒーを買っていて一緒に外に出るとあの黒い車の方に連れて行かれる。え? 何これ。誘拐?

「待ってください! この間のことといいどういうことなんですか?」
「夕飯奢ってやる」

それだけ言うと助手席の方に乗せられてしまった。私、この人についてけない。でも、夕飯代が浮くならと現金な考えもある。運転席に乗った赤井さんにういは一人暮らしなのか? と聞かれる。はい、そうです。と少し不機嫌気味に応える。いや、本当に状況説明が欲しいです。そうかとだけ答えた赤井さんは車を発進させた。浮かぶ疑問はただひとつ。

「どうして私に構うんですか?」
「何か気にかかるからな」

そう言った赤井さんはもう行くお店を決めているのか運転は軽快だ。知っている人だとはいえ警戒しないと危ないよね? 軽く怯えてる私を横目に見た赤井さんは笑っている。なんなんだ、この人。

「変なことはしないさ。これでも警察なんでね」
「最近は警官も変なことしますよね?」
「それは一部の人間の話しだろう。それに俺は日本の警察ではない、簡単に言えば警察というだけだ」

日本じゃない? でも赤井さんは日本人だよね? 外国の警官? まさかエフビーアイとか? いや、どこぞの洋画じゃあるまいし。自分の行き過ぎた考えに笑う。そうだいきなりこんなことになっているから頭がパニックを起こしているだけだ。

隣から何を笑っていると声が聞こえた。素直に自分の考えに笑ってしまってと答えると何を考えていたのかな? と聞かれる。特に何も考えず赤井さんがエフビーアイだったりとか思ってしまって。そんなことありえないですよね。 そう言いながら赤井さんの反応が気になり横を向いた。その数秒後、車内はえっ? まさかと言ったあと静まりかえった。

紹介してくれたハンバーグ店での味はとてつもない衝撃から覚めない頭では味わえなかった。








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