3.隠し続け

「やあ、ういくん」
「藍染さん! ちょうどよかったです! 四番隊の隊長さんから言伝預かっていたんです!」

四番隊隊長からの言伝を伝えて次の隊舎へ向かおうとしたとき藍染さんに腕を掴まれ五番隊舎の中へと入れられた。

「すみません。次の隊舎へ急がないとなんで」

そう扉に手をかけるがあっさりと阻止されてしまった。君はそんなに仕事熱心だったかな。今日限定で、です。まぁ、そんなこと言わないでお茶くらい飲んで行きなよ。美味しいお菓子もあるよ。完全に藍染さんのペースに乗せられて悔しいが大人しく椅子に座る。

「考え直してはくれたかな」
「何度考え直しても答えはノーですよ」

私達の仲間になってくれないか。市丸さんが隊長になった数年前からそう持ちかけられていた。何度このやり取りを繰り返せば藍染さんは納得してくれるのだろうと言って知りながら何もしない私自身もどうかと思うけど。

「毎回不思議に思うのだが何故ここまで知って黙っている?」
「浦原さんのことがあったから。私は今でも知らないって言い続けてるから」

それに藍染さんがこんなことしてるって言っても誰も信じてはくれなさそうですし。仮に信じてもらえたとしても。

「市丸と離れたくないということかね」

私は静かに頷く。それを見た藍染さんは仲間になれば市丸とずっと一緒にいられるよと笑顔だ。私が市丸さんに恋愛感情抱いているのは確かだ。でも、

「市丸さんは乱菊さんのことしか考えてないですよ」
「そんなことないさ」
「そんなことあります」

そう市丸さんには乱菊さんというとても大切な人がいるのだ。邪魔しちゃいけない。尚も市丸はういくんのことが好きだと応戦をしてくるが、ただ私を仲間にしたいだけの口実だろう。出された茶菓子を食べ、立ち上がるとまた腕を掴まれた。

「君は僕の事を恨んではないのかい?」
「恨んでも私は現世に行けないし、あの人はこっちに帰ってこないんですよ?」

勢いよく腕を振りほどく。

「ご馳走様でした」

私は静かに扉を閉め、いつもの様に仕事に戻った。私が好きになる人はここからいなくなってしまう。それが私の恐怖だ。






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