2.現世に思い馳せ

今日は六番隊に行った後、十一番隊でその後は……。今日は伝達事項が多いなぁ。

「それでね」
「今日の任務急遽変更らしい」
「お昼ご飯何にするー?」

すれ違う人達に私の姿は見えていない。たまに乱菊さんとか雛森さんとか楽しそうにガールズトークしているのを見ると羨ましく思ってしまう。砕蜂隊長と卯ノ花隊長はあまりガールズトークという柄ではないからな。卯ノ花隊長はいろいろ相談に乗ってくれるお姉さん的存在だけど。男の隊長さん達には優しくしてもらってるけど変わってる人達が多くて相手するのが大変なんだよね。

「あー現世行って遊んでみたい!」

何の脈絡のないことを叫んでみる。でも、今叫んだことは本当のことだ。かと言って私に義骸があるわけがない。というか作ってもらえたらみんなに姿が見えるんじゃない!? そうと決まったら十二番隊へ! でも、十二番隊に行くたびに涅さんに研究させろって追いかけ回されるし。これじゃあ、自分から研究してくださいって言ってる様なものか。今までの事もいろいろ見てきてるし、怖いからやっぱりやめておこう。

「何を考えておるか知らないが早く仕事に行かんか」

後ろから聞こえてきた声は山じい。はーいと返事をすると義骸なんか作りおったら仕事がなくなることは承知じゃな? と続く声。

「わかってます! いってきます!」

山じいにそう答え私は足を六番隊舎へ進める。確かに隊長格にしか見えないという理由から拾われた私。いつから彷徨ってるかわからない瀞霊廷内でずっと孤独だった。そんな中やっと気づいてくれたのが山じいたっだ。

嬉しかったなーと考えていたら懐かしい通りに入った。ふと足を止める。……前、市丸さんに見つかったお昼寝場所は二箇所目だ。最初のこのお昼寝場所は今ここにはいない浦原喜助に見つかった。そう尸魂界を追放された。何も知らない私にいろんなことを教えてくれた人だった。仕事上隊長さんのことを知っておくのは大切なことだと思っていた私は浦原さんがしていたことを知っていたし、その時から藍染さんが何を企んでいるか知っている。

あれから隊長さん達のことをあれこれ探るのはやめた。それでも何百年ともかけてついた癖がそうそう抜けるわけでもなく、例え藍染さんが何を考えていようとも。東仙さんの思いも。市丸さんがいなくなる浦原さんと重なることも。当時も黙っていた。もちろん今も。誰にも話すつもりもない。

「ボクはういのことが好きなんすよ」

私は現世にはいけない。ここから出ることは出来ない。だから嫌な予感がしても言えない。自分から好きな人が遠ざかっていくのはもう嫌だから。





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