愛：Side Z [10.03.08.]

いつでも誰かの愛情があって
それに守られて生きていた
与えられることしか知らなくて
それが当たり前過ぎた幼い頃

世界一を目指してからは
守られることは弱さだと思った
人を斬る度に
愛情を切り捨てる罪悪感が生まれた
それらは野望の邪魔になると思った
だから
要らないものになった

だが
内から生まれるそれが
守られることは弱さではなく
罪悪感と共に
心を強くするのだと教えてくれた
要らないと切り捨てたことが
弱さだったと教えてくれた

今の俺は
与えられるそれを
受け取る資格はないのかもしれない
一度突き放したそれを要らないままに
進まなければならないのかもしれない
ならば
内から溢れるそれを抱え
強さを手に入れよう

与えられるものはそれからだ
それを受け取れるだけの力を得たなら
その時は
与えられるのを享受するのではなく
自らの手で奪えばいい
決して逃すことのないように



end.