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夏:side S [10.08.23.]


陽が登ると
その高さに比例するように
最初は徐々に
そして急激に上がる温度
灼熱の日差しは
吹き抜ける風すらも
何もかもを焼き尽くす
揺らぐ視界は
焼かれた空気が揺らめくからか
それとも
めまいを起こす程焼かれたのは自分か

月明かりの下は
打って変わった冷たさに覆われる
漆黒の闇
あるのは遥か遠い光
見上げずにはいられない孤高の月
周りに瞬く小さな星に
気づくことはあるのだろうか

灼熱と闇が極端なこの時でさえ
曖昧な瞬間もあるのだと
果たして気づいているのだろうか



この暑さに溶けた頭で
凍えそうに寒いことを考える自分を
カレーズに流してしまおうか


end.
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