傷:side Z [10.04.26.]
止まることなく
止めることもせず
誰も気付かぬほど静かに
絶えず血を流し続ける
そんな傷があることを
俺は初めて知った
その深さを突き付けた慟哭
あれほど熱く濃い血が流れ出る傷を
俺は知らなかった
再び顔を合わせた時
何が縫い塞いだのかは知らないが
流れる血はその出口を失い
傷跡が残されていた
だが
それは決して癒えた訳ではなく
ただ出口を失ったというだけで
その慟哭は
静かにだが激しく
未だ内を流れ巡っているというのに
まるで救われたかのように
穏やかに笑う
そうして
幸せそうに
その身を容易く投げやるのだ
誰かにそんな傷を残すことなど
想像だにしないままに
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