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酒:side S [10.04.05.]


ったく
何であの視線で
気付いてねえと思えるんだ

こちとら長いこと客商売やってたんだ
一流ともなれば
視線から要望を察して当然
ましてやあれだけストレートで感情的な視線
素人だって気付くだろうよ

実際のところ
気付いてねえのはテメエだけだ
他の連中は面白がって
いつ我慢が出来なくなるか
賭けてるくらいだってのに
「襲わない」に賭けてるのは
俺だけだって教えてやろうか

そんなことなど知りもしないで
毎夜酒を飲みに来る
二人きりになるその時間は
自分を押さえ熱を隠す昼間と違い
たゆたうように流れていく
欲を抑えた苦しい視線でなく
優しく穏やかな
およそ似つかわしくねえその視線
余すところなく
俺だけに注がれる
気付かない振りをして
独占欲に酩酊する

俺が「襲わない」に賭けたのは
お前の抑えがきかなくなるより
俺が先に酔いつぶれると
俺の我慢の限界が先だと分かっているから

でも
今はまだ
この片恋の甘やかな時間に
委ねていたい
極上のウイスキーを熟成させるように
静かにゆったり流れる時間を
もう少しだけ


end.












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