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The wizard(57) [10.04.08.〜]


「くいなもその魔法使い共も偽物だ! 消せ!!」
「そいつらは魔法を使ってたんだぜ。魔法使いじゃなきゃなんだ?」

 その台詞に躊躇したエースとサンジが視線を合わせたのを見たウソップが、捕らえられている魔法使いに向かって塩の弾丸を撃った。すると、命中した魔法使いが黒い煙となって消えた。

「と、取り合えず、人じゃねえよな!?」

 震えながら言うウソップに、エースとサンジが我に返り、それぞれが‘杖’を構え直した。
 倒れていると思っていた魔法使い達が、一斉に目を開けた。
 どこまでも闇の、空洞の目。それらがウソップとエースを捕らえた。

「シェイプシフターか!」
「ななな、何だ? どうすりゃいい?」
「援護するから、心臓に撃て!!」

 シェイプシフターと呼ばれた魔法使いの姿をした魔物達は、雄叫びを上げながらも魔法さえ使って向かってくる。

「こいつら、何で魔法使えるんだよ!!」
「シェイプシフターは、化けた相手の記憶も持つんだよ。だから、魔法の使い方を知ってるんだ」

 魔法にエースが対峙し、その隙にウソップが塩の弾丸で応戦する。
 その間も、サンジはアルビダと向き合っていた。

「アルビダお姉様。くいなちゃんの偽物を使ってまで、何をお望みかい?」
「私の望みは、貴方を手に入れることよ」
「毬藻じゃなくて?」
「あちらは後ほど頂くわ。まずは貴方。さあ、この子と交換。貴方が私の手を取ってくれたら、この子は私が責任持って開放するわ」
「偽物だと言われてるのに、俺が応じるとお思いですか?」
「本物である可能性が少しでもあるなら、貴方は応じるわ。フェミニストさん」
「敵わないなあ」
「アホ!!」

 クロコダイルと戦いながら、ゾロが半ば呆れながら叫んだ。

「ああ!?」
「てめえ自身を一番に守れと言っただろうが!」
「うるせえっ! 偽物じゃねえかもしれねえだろうが!」
「あいつが大人しく人質になることなんかあり得ねえよ! それになあ」

 憎々しげな表情でクロコダイルを一瞥すると、何かを吹っ切った。

「自分で張った結界の中くらい把握してて当然だろうが! ここにくいなはいねえ!!」

 その言葉に、そこにいる者全てが驚きを隠せなかった。

「け、結界? どこからどこまでが?」
「さあね。だけど、ゾロの張った結界の中でこのシェイプシフターの好きにさせてるってことは、こいつらを俺達が始末できるとゾロは思ってるってことだよ」
「随分と買ってくれるぜ」
「サンちゃんの反応は読み違いだったようだけどね」
「絶対無理に決まってるだろうが。女絡みの約束は当てにならねえって」

 驚きを自信へと早々に移行させたウソップとエース。
 一方、クロコダイルはゾロとの応戦から一歩引き、聞いた。

「いつの間にそんなことしやがった」
「さあな」
「いつからだ」
「さあな」
「アルビダ!」

視線はゾロから離さずに怒鳴った。

「そいつを捕らえろ!! 死んでなけりゃあ構わねえ!!」
「手を出さねえ約束だ!」
「そんなものを守ると思うのか?」
「貴様はそういう奴だよな。だからこっちもそれなりの手段を取ったまでだ!」

 再びゾロとクロコダイルの間で金属音が鳴る。
そして。

「ということよ。ごめんなさいね」

 アルビダは妖艶に微笑んでサンジを見つめた。唇から尖った牙が見え、くいなを突き飛ばしたかと思うと、一瞬のうちに飛び掛った。
 咄嗟にスティックで防御する。尖った爪と長く鋭い牙がスティックを捕らえていた。

「くっ、刺激的な姿もまたお美しい」
「あら、ありがとう」

 その後ろから黒い影がサンジに飛び掛った。
 銃声とともに、その陰が吹っ飛んだ。
 撃ったのはウソップ。撃たれたのはくいな。偽魔法使いのように黒い煙になって消えるたりしなかった。

「シェイプなんとかじゃねえのか? まさか本物!?」

 焦ったようなウソップにエースが叫んだ。

「違う、あれは吸血鬼だ!」

 小瓶を取り出し、くいなに向かって投げつけた。指示棒を動かすと瓶が割れ、中身がくいなに降りかかる。すると、切り裂くような叫び声と共に全身が焼け焦げた。

「聖水か」
「そういうこと」
「ああ、可哀相に」

 焦げた姿を見て、サンジが思わず呟いた。

「私がそうされる前に、大人しく囚われてくれる?」
「俺はいつもお姉様の囚われ人ですよ♪」
「嬉しいわ。一緒に官能を味わいましょう」
「ああ、なんて魅力的なお誘いなんだ。……残念です」

 綺麗な笑みを浮かべると、スティックが輝き出した。



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