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The wizard(56) [10.04.08.〜]


 エースはマントを出現させてウソップに渡した。同じく自分もマントを羽織り、サンジの方を向くと、サンジも同じようにマントを羽織っていた。

「おお! 魔法使いらしいぜ」
「こんなだせー格好、誰が好き好んでやるかっての。テメエの方がよっぽどそれらしくみえるんじゃねえ? その鼻がな」
「鼻は関係ねえだろ! それに魔女の鼻は長えんじゃなくて、鉤鼻だっ!」

 悪態をつきながらも、サンジはスティックに念を込める。そして、聞こえないほどの小声で呪文を唱えると、スティックが光を放った。

「来るよ!」

 エースが背後のウソップに向かって叫ぶと同時に、サンジがスティックを魔方陣の一角に突き刺した。すると、スティックの光が魔方陣をなぞるように走り、全てが光で描かれたかの様に見えた瞬間、ものすごい光と風圧が放たれた。

「くっ!」
「うおっ!」

 防御のお陰で、エースとウソップはその衝撃に耐える。
 しかし。

「うわああああああ!!!!!!」

 身動きのできない魔法使い達は、その衝撃をまともに食らった。封じ込められ、吹き飛ばされることも許されない状態だったものだから、それは相当なもので、その1秒にも満たなかったはずの光と風圧が去った後、彼らの中に意識があるものは一人としていなかった。

「あー、こいつらのこと、すっかり忘れてたぜ。まあいいか、自業自得だろ」
「お見事だね、サンちゃん」
「当然」
「そのスティック、誰の指導で作った?」
「これ? 毬藻に決まってるだろ」

 そのとき、ものすごい衝撃音がした。

「ゾロ!!」

 ゾロは先ほどと同じ場所に、2本の刀を構えて立っていた。衝撃音は、そのゾロに吹っ飛ばされたクロコダイルが壁に叩きつけられた音だった。
 チラリと視線をサンジにやる。

「ったく、大人しくしてりゃいいものを」
「ああ!? ちったあ動きやすくなるかと思って壊してやったのに、その言い草かよ!」
「元々効いちゃいねえよ、そんなもん」
「効いていなくて、こんなもんか? そんな訳はねえだろ、その目を持っていやがるんだからなあ」

 強烈な衝撃を受けたことなど感じさせない様子で、クロコダイルはゆっくり立ち上がり、にやりと笑った。

「金色……」

 クロコダイルの言葉に、エースが初めてゾロの瞳に気が付いた。
 エースに走った僅かな動揺を、ウソップが見逃すはずがなかった。

「金色の瞳は、上級悪魔の持ち物なんだ」
「あ、悪魔? じゃあ……」
「悪魔じゃねえ。ゾロだ」
「サンジ」

 劈くような金属音が響いた。ゾロよりも大きな体のクロコダイルが、何かを唱えながらゾロに腕を振り下ろし、それをゾロが2本の刀で受け止めたのだ。

「何で手と刀なんだよ! やっぱり魔法か?」

 ウソップは、ちょっと小声でエースに背後から聞いた。

「クロコダイル卿のあの腕は義手だ。それも……ほら」
「うおっ! クック船長かよ!」
「そんな可愛気のあるものじゃないけどね」

 数度応酬する音が続いたかと思うと、クロコダイルはもう一方の手でゾロのマントを掴んだ。その瞬間、ゾロは飛んで距離を取ったが、掴まれたマントは砂と化した。

「悪魔と契約したのか!!」

 叫んだのは、エースだった。

「まさか。俺があんな連中の下につけるか。だが、手段があるなら使わねえ手はねえだろう」
「クソワニが!!」

 サンジがスティックを構えたその時。

「貴方は大人しくしていてくれないかしら?」
「!!」

 サンジが入ってきたと同時にそっと姿を消していたアルビダが戻ってきたのだ。

「もちろん言うことを聞いてくれるわよねえ、優しい坊やだもの」
「ごめんなさい、油断したわ」

 アルビダの長い爪が、くいなの首筋を撫でた。

「くいなちゃん!」

 その声に、クロコダイルと対峙していたゾロが怒鳴った。

「冷静に考えろって教えてるだろうが! このアホ眉毛!!」
「ああ!? レディが身の危険に晒されているってのに、冷静も何もあるか! ハゲ緑!!」

 まだ時間を稼ぎてえのにと思いつつ、危惧した通りあっさりとスティックを下ろそうとするサンジが視界には入ると、チッと舌打ちして怒鳴った。

「この状況でくいながここに連れてこられるわけねえだろう! それに、女を楯に取られても動じるなっつっただろうが!!」
「聞き捨てならねえな。いつそんな会話をしたってんだ、おい」

 ゾロと斬り合いながら、クロコダイルの表情が変わる。
 開き直ったゾロは、それを無視して、さらに続けた。

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