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The wizard(17) [10.04.08.〜.]


 会話が途切れたところで、ちょうどサンジがトレーに山程料理を乗せて運んできた。

「な、なんだ、その量!!」
「エースはよく食うんだよ。ほら、ウソップ、てめえの分まで食われるぞ」

 目の前の光景につい呆気に取られ、肉を一切れ食べられてしまった。それでようやく我に返って、慌てて食べ始めた。


* * * * *



「あ〜美味かった」
「いやあ、圧巻だった」

 食事が終わり、コーヒーを持ってきたサンジも席に着いた。

「満足したなら、本題に入れ」
「今?」
「今ここでだ。ウソップは心配ねえ。つうか、むしろいてもらいてえ。どうせ俺が客観的になれねえ話だろ?だから、一緒に聞いていてもらいてえんだ」
「なんか妬けちゃうなあ。ライバル増えた?」
「アホ言ってんじゃねえ。オロスぞ」
「本気なのに〜」

 エースは、わざとらしく一つため息をついてみせたその表情は、いたずらっ子のようだった。それを見て、知らずに緊張していたウソップは、肩の力が抜けるのを感じた。
 だが、それもわずかな間だった。
 
「じゃあ、話すよ。ウソップ、サンジが信用しているから話すことだ。そして、何よりゾロを知っているからこそ聞かせることだ。恋人にだって他言無用だよ」
「ああ、分かってる。分かってるが、何だ、ゾロの話なのか? 俺はそもそもそこから知らねえぞ」

 サンジが煙草に火をつけながら、ふと気付いた。

「あ、そうか。店を開けてから初めてだったか。5日前まで店閉めてたことは知ってるか?」
「ああ。食べにきたら閉まってたぜ」
「例の焼死体の事件、あれに関してちっとばかり独房に入ってたんだ。でもって、その間ゾロも評議会に拷問されて、いまだ髑髏で静養中ってとこだ」
「はあ?」

 サンジの説明は、ウソップにしてみたらどこから突っ込んでいいのか、頭の中は疑問符だらけだ。思わずエースの方を見た。そのあまりに不憫な様子に、事件のことは言えないんだけどを前置きしつつ、エースが補足してくれた。

「ゾロがいうには、あいつにかけられた魔法は何十年か毎にかけ直されててね。今回サンジが独房に入れられている間にその刑を執行されてたんだ。刑だけあって、さすがのゾロにもダメージが相当らしく、1週間は髑髏から出てこられないらしい。で、今日は5日目。まだゾロはおねんね中なのさ」
「ああ、そういうことか」

 それでも突っこみたい所はいろいろあるが、取り合えず要点は分かったと、ウソップは続きを促した。

「刑を下す為に魔法をかける時は、上層部が監視する中でその1人が、まあ場合によっては数人が魔法をかけるんだ。刑の執行ってことだね。で、ゾロの場合、その刑が相当なものだから、最上層部が全員集められるんだ。半分が刑を執行し、半分が不測の事態に備えて結界を張る。ゾロはこれまでに反発したことがないから、結界はいらないんじゃないかっていう意見を出す者もいるらしいけど」

 エースは横目でチラッとサンジを見たが、まだ平静なように見えた。
 ウソップが口を開いた。

「ゾロは『死刑じゃ済まされない罪を犯した』っていったんだけどよ。一体何をやらかしたんだ?」

 サンジの煙草を挟んだ指が微かに反応したのを、エースもウソップも見逃さなかった。

「ゾロのことは、トップシークレット中のトップシークレットでね。奴は存在すらしないような扱いをされているんだ。最上層部しか触れてはならない存在」
「しっかり店の中とかうろついてるぜ。おまけにサンジとはいつも喧嘩三昧だ」
「サンちゃんは特別なんだよ。サンちゃんの一族は、代々髑髏の監視を任されているんだ。で、俺はそんなサンちゃんの上司だから、ゾロを知ってる。とはいっても、本当はあんまりよろしくないんだよね。それを分かってるから、ゾロは敢えて俺とは最低限しか接触しないようにしてくれてる。サンちゃんと俺の為に」
「サンジの一族って……お前、身寄りはいないって言ったよな?」
「ああ。9歳の時にジジイが死んだからな」
「何言ってるのさ。1人いただろう? 確か5年前までご存命だった」
「知らねえ」
「知らないって」
「うるせえ!」

 怒鳴ったと同時に、テーブルの上のカップが3つとも割れた。

「あちっ!」

 コーヒーがかかったウソップの声で、サンジははっとした。

「あ、悪い、ウソップ」
「いや、大丈夫だ。それよりお前の方は大丈夫か?」
「ああ。本当悪い」

 二人を見ていたエースがほっと息をついた。

「ゾロが君を友人とした理由が分かったような気がするよ」
「ん? 俺、何にもしてねえよな?」
「ああ。鼻が長えくらいだろ」
「それは生まれつきだ!」

 思わず3人して声をたてて笑った。
 サンジはテーブルの上を片付け、今度はビールを持って戻り、席についた。
 そして、エースが口を開く。

「本題に入る前に、ウソップ、魔法使いの最大の禁忌が何かは聞いたことは?」
「ないな」

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