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The wizard(16) [10.04.08.〜]


「サンちゃんとのやり取りを見てるから、俺も忘れていたよ。ゾロが危険な存在なんだってこと。ちゃんと心得ておかないといけないのにね」
「そんな」
「時間ができたら、ご飯を食べに行くから、待っててね」

 暗にそれまで待てと言われた。ここではまずい話なのだろうかと、サンジは少し警戒した。

「さあ、帰りなさい」
「エース、必ず食いに来いよ」
「サンちゃんを?」
「飯だ飯! オロスぞ!」
「どっちも食べたいなあ♪」

 思わずサンジは足を振り上げ、ギリギリのところでエースは避けた。

「危ない、危ない。気を付けて帰るんだよ〜」
「いっぺん死ね!」

 エースは笑いながら手を振り、扉の向こうへ消えた。
 外に出されたサンジは、一つ大きく息をつき、布に覆われた鳥篭を両手で大事に抱きしめ、帰るぞと一人ごちて、そのまま消えた。


* * * * *



 そして、店を再開して5日が過ぎた。
 ちょうど暑くなってきたし、メニューも夏向きに一新した。ゾロが起き出してきたら、これ見よがしに冷えた生ビールでも飲んでやろう。だから、早く起きてこい。


* * * * *



 夕方の早い時間に、エースが訪れた。

「サンちゃん、食べにきたよ〜」
「いらっしゃいませ、クソお客様。何にいたしましょうか?」
「サンちゃんが食べたいなあ」
「オロスぞ」
「それはイヤだな〜。仕方ない、お任せするよ」
「仕方なく食うもんなんかねえよ」
「あはは、相変わらず揚げ足取るなあ」
「奥に座れよ」

 そう促し、扉のプレートを返そうとした。

「なになに、2人っきり!? 期待しちゃうよ」
「アホか。テメエには聞きてえ事が山程あるんだよ。それに、2人っきりじゃねえ」
「え!? だって、ゾロはまだなんだろう?」
「ああ。客がもう1人来たんだよ」

 そう言って煙草に火を付け、通りの向こうに手を振った。

「サンジ! 何か食わせてくれ。昼も食いっぱぐれてよう」
「タイミング良すぎだぜ、ウソップ。入れよ、ちょうどクローズするところだ」
「いいのか?」

 ウソップがひょこっとドアから覗くと、奥に見知らぬ男がいる。

「おい、無理なら……」「無理じゃねえよ。それに、テメエがいてくれる方が心強え」

 サンジはウソップを中へ入れ、ドアのプレートを『close』に返した。

「エース、こいつはウソップ。刑事だ。ウソップ、エースは俺の上司っていうか、お目付役だ。飯を持ってくるまで、仲良くやっててくれ」

 サンジは2人を同席させると、キッチンへ向かい、初対面の2人が残された。

「じゃあ、あんたも魔法使いか?」
「まあね。サンちゃんの能力を受け入れてるのかい?」
「ああ。世話になってるよ」
「警察はなかなか認めないだろうに」
「確かになあ。でも、俺はそれが本物って知ってるからな」
「そうか。サンちゃんにはいいことだ」
「ゾロと似たようなことを言うんだな」
「ゾロ?」
「ああ」

 エースは頬杖をつきながら、視線をちょっと横に流した。ウソップはそれをじっと見つめてから言った。

「ゾロにも世話になってるんだ」

 エースはウソップに視線を戻した。

「俺はいつも1人で来るんだけどよ、そうするとゾロが同席してくれて、いろんな話をしたりしてるんだ。まあ大抵は俺の愚痴だけどよ」
「へえ。ゾロが聞き上手なんて意外だな」
「そうじゃなきゃサンジと一緒にゃあいられねえよ。あいつはマシンガンだろ?」
「そりゃそうだな。年の功ってところか」
「そうだなあと言いてえところだが、同レベルで応戦するだろ」

 呆れた様子で答えた後、そのまま続けた。

「こんなんでもよ、一応刑事なんだ」
「そう紹介されたね」

 あくまでも調子は変わらない。

「だから、探られりゃあ分かるんだ」
「探る?」
「ゾロがどこに住んでいて、過去に罪を犯したってことぐらいだよ」

 どこまで知ってるかを気にしているんだろうと、ウソップは言った。ゾロの外見は20代だ。その年齢に年の功とは普通使わない。

「参ったね。試すような真似して悪かったよ。でも、大事なことなんでね」
「そりゃそうだ。分かってるから気にしないでくれ」


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