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彷徨―ホウコウ―


 サニー号の甲板にて。

S:何、七夕に星を見上げるなんてロマンティックな真似してるんだ?
Z:あ?
S:知らなかったか? 毬藻じゃ知らねえか。
Z:日付なんざ分からなくても別に問題ねえ。
S:お、その言い方じゃあ今日が7日だってことを忘れてただけで、七夕のことは知ってるみてえじゃねえか。
Z:てめえが知ったのは、どうせ昨日とか一昨日とかそんなもんだろ。
S:何でそれを……まさか、ロビンちゃんとのラブラブティータイムを覗いていやがったな? むっつり腹巻きめ。
Z:アホか。ナミの誕生日の宴会の時、聞かれたから教えてやったんだ。
S:誰が?
Z:俺が。
S:誰に?
Z:女共に。
S:何を?
Z:七夕の話。
S:何でテメエに聞くんだよ。
Z:イーストの慣習だからだろ。
S:ナミさんもイーストだろ。
Z:2人とも七夕祭りは知ってても、その基の話を知らなかったんだとよ。
S:何でロビンちゃんが知らねえことをテメエが知ってるんだよ。
Z:俺のところじゃガキでも知ってる。
S:うおおおおっ、なんだ、この敗北感……(泣)
Z:アホか。
S:何だと!? テメエなんか、どうせ一年振りの逢瀬の場所にすらたどり着けねえ迷子じゃねえか! 織姫様の悲恋を語るなんぞ、おこがましいわっ!!
Z:何訳の分かんねえこと言ってやがる。2人ともそれぞれの仕事をして、決まった場所で会うんだろ。迷いようがねえじゃねえか。それに悲恋じゃねえだろ。
S:織姫様達が迷うわけねえだろ、バーカ。テメエだ、テメエ。それによ、元々真面目だったお二人が、それぞれの仕事を忘れてしまう程の激しくも熱い恋だぞ。会いたいのに会えないなんざ、悲恋以外の何ものでもねえ! ああ、織姫ちゃ〜ん、俺がお慰めしてさしあげたい。
Z:アホだ。
S:ああ!?
Z:俺は迷子にならねえよ。
S:はい? 何ておっしゃったのかな、万年迷子が。
Z:俺なら連れて行くからな。離れねえなら、会いに行くのに迷子にゃならねえ。
S:いやいやいや、それじゃまずいだろ。
Z:何で。
S:お互いの事しか目に入らないから離されたのに、一緒に連れて行くのは許されねえだろ。
Z:そもそもそれが馬鹿だよな。仕事も一緒にすりゃあいいだけじゃねえか。それが出来ねえなら、それだけの想いだってことだ。
S:なんか、テメエ、意外だな。
Z:そうか?
S:興味ねえとか言うかと。
Z:まあ、くだらねえな。
S:何がだよ。
Z:俺は、離れる気はねえし放す気もねえ。
S:あ?
Z:一つのものの為に何か一つを我慢したり諦めたり。くだらねえ。俺は欲しいものは全部手に入れるし、手放さねえってこった。
S:そんな都合よくいくかよ、強欲め。
Z:都合なんか関係ねえ。都合も丸ごと掴まなくてどうする。それぐらいじゃなきゃやっていけねえだろ。
S:酔狂だな。酒と野望と欲望に酔い狂ってやがるな。
Z:酔狂、結構。てめえも道連れだ。せいぜい楽しめ。
S:は?
Z:オールブルーにも付き合ってやるから、安心して酔い狂え。
S:……酔って彷徨うなんざ、二人して迷子になっちまう。
Z:目的地までの道が分かっているなら迷子にもなるだろうが、道なんか分かんねえのに迷子になんかなれるかよ。
S:迷いようがねえってか。彷徨うことこそ道程か。
Z:俺よりてめえに似合いだな。
S:違えねえ。だが、俺は夢にだけ酔い狂うぞ。
Z:ああそうかよ。俺は今、欲望に酔い狂った。
S:本当に馬鹿だな。
Z:てめえも狂え。
S:できるもんならさせてみろ。
Z:ああ、安心して彷徨っとけ。



 ……夢と野望を胸に彷徨うときも、傍らに。

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