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Halloween cafe 2


 大通りから一本入った古い店が建ち並ぶちょっとノスタルジックな街並みが人気の通りは、普段と違ってオープンカフェとなっている。たくさんの子供達のお目当ては、、見事に仮装したたくさんのウェイターと、会計時にもらえる『The wizard』特製クッキーだ。

「……今年も凄いわね」

 ナミが呟いた。

 吸血鬼に狼男、ゴブリンに骸骨、等々。ハロウィンパーティー御用達の仮装が全て揃っている。今年は魔法使いも目に付いた。

「楽しそうだよなー。サンジー!飯ー!!」

 駆け出さんばかりの勢いでそちらへと向かう。大声に振り向いたウェイター達は、一様にギョッとして、慌てて道を開けた。

「ちょっと待ってよ、もう! みんなビックリしてるじゃない」

 すれ違い様に、ごめんなさいとウェイターににこやかに声をかけながら、ナミもルフィの後を追って、サンジの店へ向かう。

「ああ、ナミさん、いらっしゃーい♪ 中のお席へどうぞ」
「俺、外がいいぞ」
「お前に聞いてねえ!」
「私も外がいいわ。今日は心地いいもん」
「すぐお席を準備するよー♪ オラ、そこのクソゴブリン、とっととその席を片付けろ! お待たせ〜、さあどうぞ」

 ゴブリンを蹴飛ばした同じ人物とは思えない優雅さで椅子を引き、ナミを座らせた。


「それにしても、今年も凄い仮装ね」
「こいつら全部本物だぞ」
「はいはい。去年も聞いたわ」
「去年、思いの外評判でね。今年もぜひって頼まれたんだよ。お陰で通りに子供も来るようになったってね」
「確かに、この通りは常連ばかりだったもんね。素敵なお店が多いのに」
「意外に子供が喜ぶものを扱っているしね。はい、メニューをどうぞ。サーブをご希望の魔物は?」
「サンジ君でいいわ。リアル過ぎて、どれもパス」
「ああ! 今年もナミさんのご指名なんて、幸せー!」
「そうだ、ゾロは? 去年いなかったでしょ」
「今年はいるよ」
「何に変装してるの?」
「まだ寝てやがるんだ。いい加減手伝わせてえな。ルフィ、奥の部屋のソファで寝てるから、叩き起こせ。ミートパイつけてやるぜ」
「やっほうー♪ ゾーロー! 肉ーーー!」

 満面の笑みで、まさに飛ぶように向かった後ろ姿に、2人でやれやれと苦笑した。

「さて、ナミさんのご注文は?」
「せっかくだから、カボチャがいいわね。パンプキンタルトをお願い」
「かしこまりました。すぐお持ちするよ」

 にっこりと微笑むと、優雅な仕草で颯爽と店内へ戻っていく。途中、モタモタしているミイラ男に怒鳴り、ナンパしているバンパイアを蹴り飛ばした。
 ナミは周囲を見渡した。
 気味の悪いほどリアルに仮装したモンスター達は、慣れないながらも楽しそうにテーブルの間を行き来している。顔色の随分悪い悪魔のコスプレをした男が、どうやらモンスター達のお目付役のようだ。

「お嬢さん、お一人かい? よかったらオジサンとデートしないかい?」
「あら」
「コラ、オッサン! ナミさんに近寄るんじゃねえ!!」

 どうやったのかと思うほどの動きとスピードで、サンジがナミの待つテーブルまで飛んできた。

「大丈夫よ、サンジ君。お久しぶりですね、シャンクスさん」
「あれ? 2人とも知り合い?」
「ルフィのお父さんのお友達で、私の飲み仲間」
「へ?」
「ねー♪」
「何が、ねー♪、だ。オッサンがやっても可愛くねえぞ」
「そうかあ? ナミちゃん、ルフィは?」
「今ゾロを起こしに行ってるわ」

 と、その時。

「待ちやがれ!!」
「俺じゃねえって!! カッコイイぞ♪」

 去ったときと同じように戻ってきたルフィをゾロが追ってきた。

「あ、シャンクス♪」
「おう、どうした、楽しそうだな」
「ゾロ、すげえ似合うぞ♪」

 言いながらも、シャンクスとナミの後ろに隠れた。
 テーブルまで追いついたゾロが物凄く怒っているのだが。

「あはは!! やだ、本当に似合うわよ、フランケンシュタインのコスプレ!!」
「うるせえ!! 好きでしてるわけじゃねえ!! しかもこの傷跡、油性マジックで描きやがって!!」

 そういって、顔に描かれた縫い跡を指差した。

「気配で起きろよなー警戒心なさ過ぎ」
「ああ!? おい、オッサン、何写メなんか撮ってんだ!!」
「こんな傑作、エース達にも見せてやらないとな♪」
「見せるんじゃねえ!! ルフィ、テメエ……」

 ルフィは、いつの間にかテーブルに置かれた山盛りミートパイを口に頬張りながら何やら主張する。

「テメエ以外いねえだろうがっ!!」
「いくらなんでも、ルフィがそれやったら気づくだろ。お前を起こさずに顔にそれだけ落書きして、服まで着替えさせられて、しかもそんなユーモアタップリな奴は、1人しかいねえんじゃねえの?」

 ………………。

「ダーツ眉毛!! どこいきやがった!!」

 振り返ると、店の奥へ逃げる金髪がチラッと見えた。

「待て!! アホエロコック!!」

 モンスター達も震え上がる怒号と形相で追いかけていく後ろ姿を見ながら、シャンクスが楽しそうに言った。

「どうせなら、大剣豪のコスプレさせたら喜んだだろうに」
「大剣豪って、大バンパイア、鷹の目のミホーク?」
「ナミちゃん、知ってるんだ」
「あの絵本を知らない人の方が少ないでしょ。ね、誰が喜ぶの?」
「ん? 俺の昔馴染み」

 店の裏手から、物凄い破壊音が響いてきた。

「元気で仲良しなら何よりだ」

 そう言いながら、写メを添付したメールを楽しげに送信した。



Happy Halloween!!














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